阪神坂本誠志郎捕手(30)がポイントゲッターに“変身”した。今季0打点だった7番打者が一挙3打点の大活躍。ことごとく回ってきたチャンスで、着実に4得点を生み出した。

最初の3点はすべて坂本のバットから。まずは2回2死二塁で、床田から中前に鮮やかな同点打。「床田くんと(村上)頌樹でロースコアになると思っていた。先に取られたけど、何とか早く追いついて、そこから頌樹も粘って投げてくれて、こういう展開になった」と右腕をたたえた。

同点の4回無死満塁では二ゴロ併殺に倒れたが、その間に1点。三振せず、バットに当てて確実に点を取る、まさに最低限の仕事だ。「凡打の内容はチームですごく意識を持ってやっている。『生きる凡打』が大事。チームとして今日はしっかりできたんじゃないか」。打点はつかなかったが、これが決勝点になった。

3点目も大きかった。6回1死一、三塁で右翼ファウルゾーンへ大きな飛球。捕ればタッチアップ成功の距離だったが、野間がキャッチを選択。2点差に広げた。7回にはダメ押しの左前打も決めた。

昨季は梅野の故障離脱もあり、終盤は「正捕手」として日本一に大きく貢献した。今年は梅野との完全併用。打線の調子が上がらない中、梅野とともに必死に投手陣をリードしたが、その反動か? バットが振るわずにいた。打率1割台前半をうろつき、責任を感じる日々だった。

「もっとゆったりと打てばいいんじゃない?」。4月中旬、意外な人から助言を授かった。虎のOB投手、能見篤史氏だった。地元・兵庫県北部の養父市に隣接する豊岡市出身で「地元の大先輩」と慕う。偶然会った際に「迷ってるんか?」と聞かれ「迷うほどのレベルではありません…」と打ち明けた。

日々、リードに主眼を置きながら打撃でも悩んでいた。「もう、どの打席でもチームに貢献したい」と気持ちを込めた。3打点で村上を完投勝利に導いた夜。久しぶりの充実感に浸った。【柏原誠】

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