<楽天2-1日本ハム>◇11日◇Kスタ宮城

 星野楽天は諦めない。Kスタ宮城での日本ハム第3戦は、先制された上に先発ダルビッシュに封じ込まれる嫌な展開。それでも長谷部-小山のリレーで渡り合い、8回2死一塁、山崎武司内野手(42)の11号2ランでうっちゃった。3月11日に発生した東日本大震災からちょうど半年。楽天らしい粘り腰を地元ファンに披露し、今カードを勝ち越した。明日13日からは敵地神戸でのオリックス戦。3位攻防の大きなヤマ場を迎える。

 復興への思いを込めた。0-1の8回2死一塁、山崎の描いた放物線が右翼ポール際へ吸い込まれた。日本ハム増井から逆転2ランで連勝をもたらした。お立ち台に上がった主砲は仲間全員の気持ちを代弁した。

 山崎

 試合前に黙とうをささげ、チームも被災したときの気持ちを思い出しました。今日は頑張らないといけないと。3位争いは激しいけど、勝ててホッとしています。

 東日本大震災から半年の節目。試合前のアップ中、外野席後方の大型スクリーンに、これまでの“歩み”が流れた。震災直後の東北の様子。悲しみが思い出され球場全体がしんとなった。だが、そこから立ち上がった野球人たちが映し出された。募金箱を手に呼び掛ける12球団の選手。救援物資を運び出す楽天の面々。「底力」を訴えた選手会長・嶋のスピーチ。楽天の選手だけでなく、打撃練習中だった日本ハムも梨田監督始め見入った。試合開始直前には両軍、スタッフ、観客全員で黙とうをささげた。

 特別な日に勝った。2回無失点で7勝目の小山は「半年という節目で勝てたことは大きいと思う」と、この日に東北の地で挙げた1勝の意味を説いた。嶋は試合後、中島、伊志嶺らとグラウンドに再登場。相馬、陸前高田、釜石から招待された234人の人たちと触れ合った。「頑張って」とエールを受けロッカーに下がったが「まだまだ支援が届いていないところもある。忘れちゃいけない。オフには野球少年への支援を考えたい」と明かした。

 残り26試合。星野監督は「結果的に、いい勝利を東北の皆さんに送れた。でも、借金がある。まだまだ」と強調した。勝って、勝って、CSへ。元気を感じてくれるファンがいる限り、彼らは戦い続ける。【古川真弥】