<阪神4-4巨人>◇23日◇甲子園

 勝ちに不思議の勝ちありと言うが、巨人が「不思議の勝ち」を拾えなかった。9回、守護神・久保裕也投手(31)が、1点リードを守りきれずに引き分けた。原辰徳監督(53)は「追い付かれたことは本意ではないでしょうけど、1点で抑えたというね。ずっと頑張ってきているわけだし。できれば9回1イニングに集中させてやりたかったというのはありますね」と、勝利を逃した原因は久保ではないと、ねぎらいの言葉をかけるだけだった。

 ミスが連発した。4回、ラミレスがフライを落球した。6回坂本の失策は失点につながった。記録に残る2失策以外にも痛恨のミスが出た。4回、フィールズが2点適時打を放ち、なお1死一、三塁。矢野の完璧なスクイズに三塁走者ラミレスは、サインを見落とし、スタートが切れなかったもよう。8回は4点目を奪ってなお1死一、二塁。矢野の右飛に、二塁走者の阿部はスタートを切り、緩慢な帰塁で併殺に倒れた。

 2件とも、みすみす追加点を逃したケース。岡崎ヘッドコーチは「取れる点を取らず、やらずに済む点をやっていると、こうなる」と、逃した白星を悔やんだ。打順組み替え、能見攻略、6回に山口起用と、勝負手をバンバン出した原監督だったが、最後に追い付かれ引き分け。阪神よりも巨人の方がもったいない「1分け」だ。【金子航】