<阪神9-4巨人>◇24日◇甲子園

 正確無比のミート力が、ボールをスタンドに運んだ。マット・マートン外野手(29)が、1点を先制した直後の2回1死で東野の内角直球をきれいにとらえた。2試合ぶりの11号ソロを左越えに運んだ。1点だけで終わらないビッグイニングの扉を開いた。

 マートン

 しっかりバットの芯でとらえられた。ラッキーでした。

 まるでVTRのような本塁打だ。昨年のいまごろにあたる9月23日。プロ野球史上4人目の年間200安打を達成した。中日吉見からこの日と同じ内角球をナゴヤドームの左翼へ。記念打を本塁打で決める集中力だった。マートン自身は正確な日付は覚えてなかったが、打席での光景は昨日のことのように振り返った。

 マートン

 あれ(4打席目の本塁打)はシュートだったね。3打席目まではカットボール、カットボールときてね。

 試合を通じての相手の配球まで覚えている。そんな洞察力と記憶力が、M砲のヒットパレードを支える。

 “瞬間首位打者”にも到達した。この本塁打で打率3割8厘。トップだった巨人長野が3回に二ゴロを打って同3割7厘となった。試合後は再び1厘差で長野に1位を譲ったが、現在は15試合連続安打中と絶好調をキープ。ランク1位を完全にロックオンしている。

 マートン

 ナイス、ウィン!

 勝てたのがよかった。今日はビッグオフェンスだったね。

 最も重要なことはチームが勝つこと。「この時期は個人成績は気にしないもの」と言う。それでも振れば安打のマートン小槌(こづち)は、逆襲を狙う虎の大きな武器だ。【益田一弘】