ローテ白紙じゃ!

 広島のルーキー福井優也投手(23)について、大野投手チーフコーチが2日、来季の先発ローテ入り白紙を強調した。今季は前田健、バリントンに次ぐ先発の一角を任されたが、来季は大竹ら故障組の復帰やドラフト1位の即戦力右腕、明大・野村祐輔投手(22=広陵)らが加入してローテ争い激化は必至。福井は課題の制球力を磨き、もう1度つかみ取るしかない。

 ルーキーイヤーを終えてほっとする間もなく、来季へ向けたホットな争いはスタートした。秋季練習2日目のこの日、福井はマツダスタジアムでみっちりと走り込みなどのトレーニングを行った。

 大野投手チーフコーチは、1年間先発ローテを守り抜いた新人右腕の頑張りを称賛しつつ、あえて厳しい言葉で叱咤(しった)した。「福井は先発候補の1人だが、来季はどうなるか分からない」。

 前田健、バリントンの両輪を除けば、来季の先発ローテ入りを確約された投手はいない。規定投球回数に到達し8勝(10敗)を挙げた福井も例外ではない。昨年まで東京6大学リーグでしのぎを削った明大の右腕野村が、来季は同じチームでライバルの1人になる予定。ローテ“白紙”を強調することで、世代の近い選手同士で競い合い、レベルアップしてくれる効果も期待している。

 大野コーチは、福井の修正ポイントについて「新しい球を覚えるというより、持ち球の制球力を磨いてほしい。抑えられる球も持っているのだから、それをしっかり投げきれるように」と話した。

 福井もそれは自覚している。規定投球回数には達したものの、防御率はその16人中最低の4・12。与四球68個、暴投11個、失点76はいずれもリーグワーストだった。「焦らずにやりたい」とローテ入りや野村らライバルを過剰に意識しないが、安定感あるフォームを手に入れることには貪欲だ。

 シーズンが終わり、肩を休めたい気持ちもあるが、来季のために、左足にしっかり体重を乗せられるようにする。「やるなら大げさになるくらいにやってみて、そこからまた考えたい」という。フォームが安定すれば、鋭いスライダーも生きる。「今季は四球で崩れたりしたので、来季はストライクを取って攻めていって、それで打たれたら何が足りないかまた分かるはずです」。

 福井は今日3日、宮崎・日南秋季キャンプへ出発する。来季に向け、実り多き秋にする。【高垣誠】

 ◆来季の広島先発投手陣予想

 前田健、来日1年目で2桁勝利を挙げたバリントンの2枚は不動。右肩などの故障から復帰し終盤に1勝を挙げた大竹も、間隔を空けながらでもローテの一角を任されそうだ。さらに篠田、斉藤ら左腕も1枚は必要。福井は先発5番目を新人野村や、来季残留すればジオらと争うことになりそうだ。