トリ、残留決定!

 国内FA権を取得している阪神鳥谷敬内野手(30)が来季残留の意思を固めたことが27日、分かった。今日28日にもFA権を行使せずの残留が発表され、今後は単年契約を基本線に契約交渉をスタートさせる。順調なら来季中に海外FA権を取得するため、来オフはメジャー流出の可能性がある。

 虎の至宝、鳥谷が来季の阪神残留を決意した。8年目の今季、9月3日に国内FA権の取得条件を満たした。シーズン終了後から熟考を続け、最終的に権利を行使しないで残留することを決めた。この日、球団側に連絡を入れ、今日28日にも残留が発表される見通しだ。通常の契約交渉はこれからで、単年契約が基本線となる。

 1カ月間、悩み抜いた末の決断だ。シーズン終了後から<1>FA権を行使せずの残留<2>FA残留<3>FA移籍とすべての可能性を残し、フラットな気持ちで熟考を重ねてきた。複数球団が関心を示しているとの情報もあり、その動向に注目が集まっていた。一方で鳥谷は虎に強い愛着、生え抜きでトッププレーヤーに育て上げてもらった恩義を感じていたのは間違いない。

 球団は複数年の大型契約を用意し、全力で残留要請を行ってきた。その誠意が伝わった。ただ、鳥谷は毎年「1年1年が勝負」というポリシーを貫いており、今オフも単年契約となる可能性が高い。あえて退路を断ち、来季も縦じまのユニホームに袖を通す。

 和田新監督にとっては何よりの朗報だ。10月下旬の就任会見では藤川とともに鳥谷をリーダーに指名。「もっと前に出て引っ張っていってもらいたい。態度、発言を含めてグイグイ引っ張ってもらいたい」と大きな期待を寄せた。秋季キャンプ前には話し合いの場を設け、熱意を伝えていた。

 昨季は遊撃手史上最多シーズン104打点を記録。今季は右手人さし指を負傷しながら全試合出場。2年連続の打率3割を達成し、出塁率3割9分5厘、7三塁打はリーグトップだ。さらに自己最多でチームトップの16盗塁を決め、自身初のゴールデングラブ賞も獲得。走攻守すべてにおいてリーダー格なだけに、首脳陣の喜びは計り知れない。

 とはいえ1年契約となれば安心はできない。順調なら来季中に海外FA権を取得予定。「向上心」を座右の銘に掲げる男が来オフ、メジャー挑戦を視野に入れる可能性は十分にある。もちろん、鳥谷自身は目の前の1年間に全力を注ぐ姿勢。縦じまのチームリーダーとして、7年ぶりのV奪回に照準を定める。