虎で優勝したいから…。国内FA権を取得している阪神鳥谷敬内野手(30)が28日、FA権を行使せず残留することを正式に表明した。この日発表されたベストナインに2年連続で選出され、自身初となるゴールデングラブとのダブル受賞を達成。4位に沈んだシーズンに満足感はなく、タテジマを着る来季は優勝とダブル受賞を狙う考えだ。

 兵庫・加東市内で行われた球団主催のオーナー杯ゴルフに参加した。スッキリした表情で来季の虎残留を表明した。鳥谷は決め手を「タイガースに入って1回しか優勝していない。来年こそ優勝して、そこから自分のことを考えたいと思っている」ときっぱり語った。

 前日27日に残留を球団側に伝えた。和田新監督から「一緒に優勝を目指そう」と言葉をかけられ、球団の誠意も十分に伝わった。「自分の野球人生を考えた時に分岐点というか、ここで(FA宣言)するかしないか悩んだ」。シーズン終了から1カ月間、熟考した末に納得の結論を出した。

 契約交渉はこれからで、基本は単年契約。順調なら来季中に海外FA権を取得し、メジャー挑戦を視野に入れる可能性がある。来オフの選択肢が増えること以上に、優勝への強い思いが残留を後押しした。選手会長は退くが「目に見える結果だけじゃなく、ピッチャーを助ける言葉をかけたりして、ムードを良くすることができれば」とチームを引っ張る。【佐井陽介】