11年ぶりの優勝を目指すヤクルトが、チーム、フロント一体になった組織強化に乗り出す。現在東京・新橋にある球団事務所が、来年3月に神宮から徒歩6~7分の港区北青山に引っ越すことが28日、分かった。球団事務所が新橋から離れるのは球団創設以来初で、現在の事務所は14年間使用してきた。3月17、18日の2日間で引っ越し、来春開幕に間に合わせる構想だ。

 青山ベルコモンズから近い一等地に位置する新事務所は、フロア面積は現在の約2倍になる。目玉は「チームルーム」の創設だ。球団事務所内に選手が自由に入れる部屋をつくることで、フロント、チームの一体感をつくる方針。きっかけは契約更改交渉などで訪れた選手が、居場所なく立ち尽くす姿だった。衣笠球団社長兼オーナー代行は「選手が来た時に決まった部屋があれば、話がしやすい」と決断。社長自身も顔を出し、意見交換などで現場とのコミュニケーションを円滑にする考えだ。

 現在は地下鉄で5駅の距離だったが、徒歩圏内になれば両者の行き来が活発になる。仕事納めだったこの日、本社側から正式に承認された。

 今年6月に就任した衣笠社長は次々に改革を断行。神宮外苑コブシ球場の人工芝張り替え、1軍クラブハウス内部や風呂の改修、さらに埼玉・戸田にある2軍の球場施設改修、室内練習場新設など、強いチームにするため改革を進める。今季はあと1歩で優勝を逃した。新事務所元年の来季こその思いで、現場、フロントが一致している。【前田祐輔】

 ◆ヤクルトの新球団事務所

 地下鉄外苑前駅から徒歩3分「青山ビル」4階。住所は港区北青山2の12の28。事務所面積は約265坪。新橋の家賃は百数十万円だったが、新事務所は二百数十万円と、およそ2倍になる見込み。