<楽天3-3日本ハム>◇28日◇Kスタ宮城

 天敵の佑ちゃん撃ちだ!

 楽天聖沢諒外野手(26)が、日本ハム戦の5回、1死二塁から中前に同点適時打を放った。昨年は日本ハム先発の斎藤佑樹投手(23)に対し、11打数1安打で打率は0割9分1厘と抑え込まれていた。だがこの日は第1打席に右前打を放ち、4打数2安打で苦手を克服。試合は中継ぎ陣が2点のリードを守りきれず、今季2度目の引き分けとなった。

 力を抜いて聖沢は打席に入った。1点を追う5回1死二塁。雑念を振り払い、集中力を研ぎ澄ませた。斎藤の真ん中スライダーを見逃さず、フルスイング。打球は中前に抜けた。「甘い球が初球に来ました。序盤はチャンスを逃していたので、チームにいい流れを呼び込む一打になったと思います」と、斎藤攻略の口火を切った打席を振り返った。

 今季は打率3割2分6厘、得点圏打率5割のトップバッターも斎藤に苦しめられていた。昨季は対戦打率1割未満。札幌ドームで今年最初の対戦となった13日も3打数無安打だった。だが新たな試みで打開策を見つけ出した。「少し遊び心を持って打ちたいなと思って。フリー打撃のような感じで打席に入りました」。これまでは苦手意識から自然と力が入り、タイミングがずれていた。毎日のアーリーワーク、打撃練習での感覚を思い出しながら打席に向かった。斎藤を意識せず自分のスタイルを貫き、2安打の結果につなげた。

 相手打者からも刺激を受けていた。前日27日、何度か食事をして親交のある日本ハム稲葉の2000安打達成を見たいかと問われ「見たいですね。同じ野球選手として、同じグラウンドでその瞬間を見てみたい」と素直な思いを口にした。1回、いきなりその時は訪れた。「率直にすごい。やっぱり2000本を達成する人は人間的にも素晴らしいし、尊敬しますね」。大記録を目に焼き付け、1回裏の打席で初球をフルスイング。右前打を放った。

 5回の同点適時打後は、二盗を成功させて今季14個目の盗塁をマーク。足でもかき回し、斎藤のリズムを崩してこの回の逆転につなげた。出塁率は3割台後半をキープし、得点もチームトップの12。1番打者としての役目を十分に果たしている。「自分のするべきことをしていくだけです」。稲葉のメモリアルに負けじと、聖沢の全力プレーも光っていた。【斎藤庸裕】