<中日3-0DeNA>◇29日◇ナゴヤドーム

 仰天の奪三振ショーだ。中日岩田慎司投手(25)がDeNA打線から7回で自己最多の12三振を奪い、2安打無失点で今季2勝目を挙げた。「打たせて取る」タイプの右腕が大変身し、チームはお得意様のDeNAに昨季8月27日から10連勝。ヤクルトと勝率で並び、首位に返り咲いた。

 三振、三振、また三振…。中日岩田がドクターKに変身した。7回先頭の中村を141キロ直球で空振りに仕留めると、続く一輝を外角低め131キロのスライダーで空振り三振。12個目の三振となった。十分すぎる内容で仕事を終えた右腕は、2番手浅尾にバトンタッチ。今季2勝目を手にした。自分でもびっくりの奪三振ショーだった。

 岩田

 (2桁三振は)高校以来ですかね。(理由は)分かりません。低めに投げて早いカウントでゴロを打たせるというのが自分のスタイル。本当にストライクを投げるということだけを考えたんですけど…。

 守備でも自分を助けるビッグプレーがあった。ヒットと四球で招いた2回1死一、二塁のピンチ。遊撃手井端と連係して二塁走者をけん制アウトに仕留めた。「井端さんからサインを出していただいて。リードも大きかったし、あのアウトが大きかった」。不安定な立ち上がりだったが、この好プレーで流れがガラリと変わった。

 昨季までプロ1勝だった男がこれで早くも今季2勝目だ。昨オフには初めて朝倉らとともにオーストラリアで自主トレを敢行。温暖な土地でフォーム修正に取り組み「低くなっていた」という肘の位置を高くするように変えた。もともと球速で勝負するタイプでなく、直球と同じ腕の振りから多彩な変化球で幻惑するスタイル。肘の位置が高くなったことで、より鋭く腕が振れるようになった。「今日は本当に腕が振れた」と振り返った。

 笑いが止まらないのが高木監督だ。「すごかったね。たいしたもん。最初はランナー出したけど、だんだんと低めにいっとった」。先発ローテーションの当落線上にいた男の快投で、ヤクルトと勝率で並び4日ぶりに首位に再浮上した。前日28日に3勝目を挙げた5年目山内に次いで、4年目岩田が快投。チーム防御率はリーグ唯一の1点台である1・77。中日は今年も投手王国だ。【桝井聡】<岩田慎司(いわた・しんじ)アラカルト>

 ◆生まれ

 1987年(昭62)1月27日、岐阜県生まれ。

 ◆球歴

 岐阜・三輪南小学校2年で野球を始め、愛知・東邦に進み、3年春にエースとしてセンバツ出場。明大では大学日本代表に選ばれ世界大学野球選手権準優勝に貢献。08年ドラフト5位で中日入り。

 ◆後輩

 広島のドラフト1位ルーキー野村は明大の3学年後輩で、いまも連絡を取り合う仲。「お互いに刺激していければ」。

 ◆大物と同期

 明大ではサッカー日本代表DF長友佑都(インテルミラノ)や女優北川景子と同期入学。

 ◆特技

 料理。得意メニューは「野菜カレー」。

 ◆サイズ、投打

 181センチ、80キロ。右投げ左打ち。