<阪神2-1巨人>◇5日◇甲子園

 巨人の前に、2点差の壁が、そびえ立つ。1点を追う9回2死一、二塁。打席に向かう寺内の右肩を抱いた原辰徳監督(53)は(1)球児特有の威力のある高め直球=釣り球に手を出すな(2)ベルトより下に目付けをして、直球を振るべし!

 と指示を与えた。寺内は4つのファウルで粘ったが、結果はフォークに空振り三振だった。

 7回無死一、三塁。8回は1死満塁。終盤3イニング連続でチャンスを作っても、追加点は「0」。原監督は「ゲームを落とすときは、こういうケースが多い。あと1本…」と、顔を曇らせた。ホームが遠い。残塁は「10」。今季は逆転勝利が3度しかないが、いずれも1点差。2点のビハインドを1度もはじき返したことがない。

 執念の代打策も、巨大な壁を壊せない。5回2死一、三塁。先発内海に代えて加治前を起用。原監督は「今年はなかなか点数が入らない。攻撃に転じる方が、チームの目的を果たせると判断しました」と、決断の意図を話した。加治前は適時中前打を放つが、次の長野が続かない。得点はこの1点だけ。1点では勝つのは難しい。

 小差の負けにはミスがある。4回無死一塁、寺内はバントを2度ファウルで結果は三振。9回無死一塁で中谷は、結果的にフルカウントから犠打を決めたが、初球と2球目はバントをファウル。この日の試合前、阪神新井貴がフリー打撃でセーフティーバントの練習をしていた。巨人同様「あと1歩」に苦しむ阪神も、主軸が試行錯誤している。ミスを減らす準備こそ、2点の壁を破る近道なのだろう。【金子航】