ソフトバンクは8日、ブラッド・ペニー投手(33)の退団が決定したと発表した。年俸2億2500万円(金額は推定)で今季入団したメジャー通算119勝右腕は、わずか1試合、64球を投げただけ。昨季日本一を支えた和田、杉内、ホールトンの抜けた穴を埋める存在として期待されながら電撃退団となった。

 本人が米国でのプレーを希望し、自ら退団を申し入れた。右肩痛を訴え日本と米国で2度検査を受けたが、いずれも「異常なし」。再来日し先月20日から西戸崎で復帰へ向け独自調整をしていた。3日から腹痛を訴え練習を休んでいた。すでに米国に帰国している。

 石渡編成部長は「力はあった選手なんで、うちの戦力になってくれる器として期待していた。本人のたっての希望だった。いい精神状態でやらせてあげたかったんだが…。フロントで議論して監督と相談して早急に方向性を決めます」。ペニー退団で支配下選手は64人に。育成制度を保持するためには65人の支配下が必要なため育成枠から1人登録するか、新外国人など外部から獲得する必要がある。

 日本では4月4日楽天戦(Kスタ宮城)での先発が最初で最後だった。3回1/3、7安打6失点。5点リードしていた楽天にこの日5つ目の盗塁を決められた瞬間、自ら降板を申し入れた。再来日後、1軍復帰へクイックやけん制の課題を首脳陣から伝えられたが、練習することはなかった。日本になじめないまま、メジャー119勝右腕は去った。

 ◆ブラッド・ペニー

 1978年5月24日、米オクラホマ州生まれ。96年ドラフト5巡目でダイヤモンドバックス入団、00年マーリンズでメジャー初昇格。オールスター出場2度。ドジャース時代の06年16勝を挙げ最多勝。メジャー通算で319試合119勝99敗、防御率4・23。193センチ、104キロ。右投げ右打ち。2月のキャンプ中にソフトバンク入り。推定年俸2億2500万円。<早期退団問題児アラカルト>

 ◆73年ペピトーン内野手(ヤクルト)6月に入団し、離婚問題で一時帰国。9月にも無断帰国し、翌年も契約したがキャンプに現れず、契約解除となった。

 ◆74年ハワード外野手(太平洋)大リーグ382本塁打の超大物も右ひざを故障し、わずか1試合に出場しただけで退団。

 ◆74年スノー投手(日本ハム)4月にテスト入団したが初月給を銀行から引き出して失跡。その後、無断帰国が判明し、5月初めに無期限失格選手に。

 ◆84年マネー内野手(近鉄)29試合で8本塁打、23打点をマークしたが、マンションの汚さ、家族のホームシックなどを理由に5月退団。

 ◆95年ミッチェル外野手(ダイエー)開幕の西武戦で満塁本塁打を放つも5月に右ひざ痛を理由に無断帰国。7月下旬に再来日も、8月に帰国し退団。

 ◆97年グリーンウェル外野手(阪神)大リーグ通算打率3割3厘の実績で来日も、キャンプ中に背中の故障で一時帰国。5月3日に初出場したが、10日に自打球を当て右足甲骨折で14日に退団。7試合で年俸の半額(1億8000万円)を手にした。

 ◆05年ミセリ投手(巨人)抑えの切り札として入団したが4試合で自責点7と救援失敗が続き、4月19日に解雇。