5連勝中の星野楽天が、明日16日から始まる交流戦に秘密兵器を投入する。昨秋ドラフト2位の釜田佳直投手(18)が14日、1軍に合流した。イースタン・リーグで7試合に登板し、21イニングで防御率0・86と結果を残していた。ファームでは3試合に先発したが、1軍ではまずは中継ぎで起用される予定。マリナーズに移籍した岩隈の付けていた背番号「21」を継承する最速153キロ右腕が、いよいよデビューする。

 あくまで勝つための戦力だ。かねて大きな期待を寄せていた高卒ルーキーの1軍合流。起用法を問われた星野仙一監督(65)は「リリーフが苦しいからな。うちは接戦ばかりだから。点差関係なくどんどん行かすよ」と答えた。5連勝中でチームの状態は上向きだが、うち4試合が1点差の辛勝だ。投手陣に経験枠などない。釜田のプロデビューも、敗戦処理など重圧のかからない場面を選ぶつもりはない。戦力としてマウンドに送り出す。

 監督が期待する理由は、最速153キロを誇るボールだけではない。「将大(田中)みたいに、前に前にいこうとする気持ちがある」と言うように、マウンド上ではエース田中のように、気迫たっぷりにボールを投げ込む。さらに発言もお気に入りの一因。「釜田は『1年目から田中さんと同じくらいの成績を残したい』って言うんだよ」と、うれしそうに話していたこともあった。おとなしい選手が多いことを、物足りなく感じている同監督にとって、何とも頼もしい若手といえる。

 右肘の故障歴を考慮して、2軍でも4月中旬まで中継ぎで登板していた。だが、星野監督が同じ回数であっても先発させるように言った。「リリーフ登板だと2回、3回で『もういいや』と思ってしまう。でも、先発でその回数なら『もっと投げたい』という欲が出る」。決して無理はさせないが、あくまで先発の柱…エースに育てていく英才教育だった。

 星野監督の意図通り、少しずつ階段を上がってきた。4月29日の初先発では4回で降板するも、2試合目の5月5日には最速149キロをマーク。6回を投げ、1安打も許さないままにマウンドを降りた。「まだちょっと力が入っちゃうんですけどね。でも順調ですよ」。万全の状態で1軍に乗り込んできた。

 12日に1軍昇格を伝えられた際には「とにかくびっくりしました」と言うが「チャンスなので一生懸命頑張ります」と力強く話した。昨年まで岩隈がつけた背番号「21」を背負うルーキーが、上り調子のチームをさらに加速させる。【斎藤庸裕】