フレッシュパワーで巻き返せ!

 自力Vの消滅した阪神が、今日からの本拠地9連戦中にドラフト1位伊藤隼太外野手(23=慶大)の1軍再昇格を検討していることが9日、分かった。外野手に不振選手が出るなどの条件付きだが、有力候補に急浮上。2軍で力を蓄えた「金の卵」がカンフル剤となるのか。打てる手は何でも打つ!

 手負いの虎が本拠地に戻ってきた。今季最長のロードで1勝10敗と惨敗。借金9を抱えて、自力優勝も消滅した状態で帰ってきた。ただ、まだ、間に合う。前半戦最後の9連戦はすべて本拠地甲子園で戦える。正念場となるAクラス3球団との対戦を目前に控え、ドラ1ルーキーの昇格プランが浮上した。球団関係者がこう話した。

 「オールスター前にあるかもしれない。報告は聞いているし、今いる外野手が打たなければ上げようか、という話にもなっていた」

 未来の主砲と期待されて入団した伊藤隼はキャンプ、オープン戦と1軍で奮闘した。開幕1軍入りこそ果たしたものの、攻守にわたって課題も多く、開幕3連戦を終えた4月2日に2軍落ちとなった。その後は打撃に悩む日々…。だが、大学日本代表の4番を務めたほどの男は転んでも、ただでは起きない。打撃フォーム改造などを経て、ようやく2軍でも才能の片りんを見せつつある。

 6月27日ウエスタン・リーグ広島戦では本塁打、三塁打を含む4安打と大暴れ。その活躍が認められ、打線のカンフル剤として昇格の有力候補に挙がってきた。関係者はさらなる期待を込めてこう言った。

 「打率が2割では複雑だよね。上げなきゃ仕方ないというような数字を残してほしい」

 現在の打率2割4厘は確かにもの足りない数字ではある。ただ、今日から2軍も同じように9連戦と実戦が続く。チャンスで結果を残せば、開幕カード以来の1軍がぐっと現実味を帯びる。若い力の台頭を望むファンにとっても甲子園で伊藤隼が躍動する姿は希望となるはずだ。

 前半戦最後にして最大の正念場を迎えた和田監督は気持ちを奮い立たせた。

 「とにかく流れを変えないといけない。選手ももがいている。ただ甲子園に帰ることで、本来のルーティンに戻る。ファンの声援がある?

 そうだ。何とかせなアカン」

 流れを変えるという意味で伊藤隼は、最もインパクトのある存在と言えるだろう。壁は高い。だが、現状に風穴をあける可能性も感じさせる。2軍からはい上がろうともがく金の卵にチャンスは訪れるのか。若い力がはじけたとき、和田阪神が大逆襲に転じる。