<中日4-4ヤクルト>◇28日◇ナゴヤドーム

 中日のベンチに野手は残っていなかった。同点に追いつかれて迎えた9回2死一塁の場面。打席に立ったのはホルヘ・ソーサ投手(35)だった。ドミニカ共和国の英雄サミー・ソーサ氏の自称親戚で、メジャー通算3本塁打の怪力投手も、最後はあえなく見逃し三振に終わった。

 7回終了時点で野手15人を使い切った。高木守道監督(71)は4回に福田、6回に平田と若手を次々と投入。3-3の7回には岩崎達の押し出し四球で1点を勝ち越したが、最後に残っていた田中まで送り込んだ。9回から登板したソーサがスクイズで追いつかれたが、代打要員はもういなかった。

 試合後の指揮官はカンカンだった。お得意のはや仕掛け采配が不発。怒りの矛先は若手野手に向いた。「うちの若手は寂しいよ。1人くらいおってもいいのに総崩れやない」。勝負どころでつぎ込んだ若手がことごとく凡退。ぶち切れモードに突入していた。

 これで今季は苦手ヤクルトとは3勝8敗2分けとなった。首位巨人との差は今季最大の6ゲームまで開いた。7回で野手を使い切るハラハラドキドキのモリミチ劇場も、今回ばかりは笑えない結末だった。【桝井聡】