<楽天7-4オリックス>◇9日◇Kスタ宮城

 誰もが通るプロの壁を楽天釜田佳直投手(18)が乗り越え、4勝目をつかんだ。7月28日、2軍降格を告げられた。全体練習後に、選手ロッカーが隣だった岩村から助言を受けた。「(登録抹消期間の)最短10日間の中でも、目標を持ってやった方がいい」。素直に耳を傾けた。

 翌29日、2軍の練習場のポール間を軽めにジョギングした。その後、室内練習場で約20分間、シャドーピッチングを黙々と続ける姿があった。「目標は疲れをとることにしました。明日は完全オフにします」。休日の30日は、映画「海猿」を見るために外出した。「野球のことは考えないように、あえて行きました」と、この1日だけは頭を空っぽにした。

 心身ともに1度、リセットする必要があったからだ。高卒ルーキーながら、5月中旬から先発ローテーションを任され3勝。しかし6月17日から5戦白星なし。1軍の投手陣からは「自分らしさを失ってるように見える」と言われた。2軍でリフレッシュ期間を設けたことで「気持ちで押していく」という自分らしさを見つめ直した。「(休養日の)次の日からは、1軍でどうしたら勝てるか考えながら取り組んで来ました」と180度切り替えた。

 この日は1回から持ち味の直球で押した。最速は148キロも、躍動感は戻ってきた。星野監督は「(復調かは)分からんな。ちょっと球数が多すぎる」と厳しかったが、次回へ期待させる兆しは見せた。【斎藤庸裕】