阪神マット・マートン外野手(30)が18日、出場選手登録を抹消された。前日17日のヤクルト14回戦(神宮)での拙守連発で懲罰交代を食らい、試合後はコーチに激高して一触即発。球団首脳は2軍降格について懲罰的な意味合いを否定。マートンはこの日帰阪し、今日19日から2軍に合流する。球団は罰金などの処分を科さない方向だが、復帰期限は設けずに復調を待つ方針だ。

 ヤクルトに完封負けを喫する12時間以上も前の午前8時40分、マートンは都内の選手宿舎ロビーに現れた。通訳、広報に付き添われてチェックアウト。時折笑みも浮かべながら、最寄り駅までの道のりを歩いた。拙守連発、コーチとの口論などで、来日3年目にして故障や体調不良以外では初の2軍降格となった。「自分が今までやってきたことをやることに変わりはない。(1軍復帰の最短)10日間で戻るかどうかは自分でコントロールできない。和田監督が決めることだから、僕はやれることをやるよ」と、意外にも表情はふっ切れていた。

 前日17日のヤクルト戦で5番左翼で先発し、3回に拙守連発して懲罰交代を食らった。試合には勝利したが、試合後はベンチ裏のミーティング中に逆上して関川外野守備走塁コーチに詰め寄り、一触即発状態となった。その後は神宮球場クラブハウスで同コーチと約1時間話し込んだ。宿舎到着後は和田監督に2軍降格を告げられ、高野球団本部長らから注意を受けた。球団から罰金などの処分はなく、高野球団本部長は「懲罰ではなく、あくまでもう1回奮起してほしい、ということ。興奮したのは良くない。ただ、コーチにどうこうじゃないのは確認している。逆にそれだけのパワー、エネルギーがあるということ。昨日も前向きな話しかしていない。もう1回戻ってくれ、と話した」と懲罰的な降格ではないと強調した。

 今季は攻守ともに本調子には程遠く、6月には能見の名前を出した「暴言騒動」も起こしていた。山脇守備走塁総合コーチは「(1軍復帰の)期限は特に設けていない。調子を上げてくれたら(早く戻ってほしい)」と説明。最短10日間なら28日DeNA戦での復帰が可能だが、期限を設けずに復調を待つ。和田監督は「いろいろなモノを吹っ切ってね。たまっているモノもあるから。(復帰は)いい状態でね」と話した。

 この日は大阪に戻り、帰宅。今日19日から2軍に合流し、今後はウエスタン・リーグにも出場する予定だ。高野球団本部長は「もっと打てる、というのがあるんだろう。歯車がかみ合わずに悔しい気持ちもあると思う」と心情に理解を示し、ひとまず去就問題への発展は免れた形だ。【佐井陽介】