<日本ハム13-3オリックス>◇21日◇旭川

 日本ハム打線に一気に火が付いた。オリックス戦の5回、打者16人を送り9安打を集める猛攻で、一挙11点を奪った。1イニング11得点は、東映時代の66年以来46年ぶりの球団タイ記録で、日本ハムとなってからは初。今季最後の道内地方開催となった旭川では、3年越しで5連勝という好相性が、そのまま数字となって表れた。

 心配になるのは、36分も守りについていたオリックス野手陣の体調だった。今年一番という32・8度を記録した旭川で、日本ハム打線が打ちまくった。熱中症により医務室で手当てを受けたファン19人。北海道では少し季節外れの暑さは、打線に熱さをもたらした。栗山英樹監督(51)は「ナイスゲームだった。よく打ってくれたね」。最近5試合で平均2得点だったのがうそのように、「H」ランプが点滅を繰り返した。

 先頭打者糸井の三塁内野安打が、5回の長い攻撃の始まりだった。盗塁などで1死二塁とすると、稲葉が左翼線へ適時二塁打を放ち、最初の1点目。「もう1点欲しいところで打てて良かった」。だが、1点どころでは止まらない。四球なども絡み、結果的に打者16人の猛攻。糸井、稲葉、鶴岡の3人が1イニング2安打のマルチを達成し、11人の走者がホームベースを駆け抜けた。

 2巡目の鶴岡が放った中前適時打が11得点目。1イニング11得点は、東映時代の66年以来、46年ぶりの球団タイ記録。2本とも満塁機でタイムリーを放ち、3打点の鶴岡は「ホームランがなくて、ヒットヒットというファイターズらしいつなぎの野球ができたのがうれしい」と喜んだ。

 「つなぎの野球」は、ヒルマン、梨田監督時代から受け継がれる日本ハムのカラー。そのつながりは、安打を生み出すバットにも隠れている。15日の楽天戦、小谷野が鶴岡のバットを拝借して試合に臨んだ。「去年までの僕のバットと同じ型なので」。鶴岡のバットは、小谷野が昨季使っていたバットとタイプが一緒。さらに、陽岱鋼もこのタイプを使用している。さらにさらに、もともと小谷野は稲葉のバットを参考にして使い始めており、糸井もこのバットの愛用者。ほとんどの選手が似たようなバットを使うという、プロ野球では珍しい現象。用具でもチーム一丸になっているのだ。

 打線が上向くきっかけになりそうな大勝だが、栗山監督は気を引き締めた。「明日(22日)この点数の半分がもらえるわけじゃないし。また頑張ります」。つながった打線の勢いを翌日へつなげる。【本間翼】

 ▼日本ハムが5回に9安打11点の猛攻。1イニング11点以上は、09年6月11日ロッテが広島戦の6回に15点を記録して以来、3年ぶり。統一球導入後は11年6月5日ヤクルトが楽天戦4回にマークした10点を上回り最多で、日本ハムにとって1イニング11点は東映時代の66年8月20日東京戦1回に記録して以来、46年ぶり2度目の球団タイ記録。