阪神が、編成面を統括する「GM(ゼネラルマネジャー)補佐」に、前ヘッドコーチの木戸克彦球団本部付次長(51)を抜てきする方針を固めたことが30日、明らかになった。GM職に就任する元監督の中村勝広氏(63)を、現場に近く、幅広い人脈をもつ木戸氏がサポートする。

 球団は9月5日に電鉄本社で開かれる臨時取締役会で、中村氏を取締役として迎え、GMに承認する運び。同氏は野球評論家としてチームを見てきたが、より現場に近い側近が必要と判断。さらに中村氏本人からの申し入れもあって、水面下で補佐役の人選を進めてきた。

 木戸氏は09年から昨季までヘッドコーチを務め、チーム状態を把握していることから、白羽の矢が立った。また、同じGM補佐のポストには、嶌村聡球団本部副本部長(44)の就任も決まっている。初年度からチーム再建の力量が問われる中村氏を、木戸、嶌村両氏がアシストする形になる。

 また、テコ入れ方針を固めているコーチ陣では、正捕手として03、05年のリーグ優勝に貢献した矢野燿大氏(43)が入閣候補に浮上している。今季、特に苦しんだ捕手部門を再建する切り札となる。さらに今年は各部門でコーチの経験が浅かったという反省から、ヘッドコーチや2軍監督など経験豊富な平田勝男氏(53)の名も、入閣候補に上がっている。

 DeNAと5位争いを繰り広げる窮状の裏で、来季へのプランが着々と進行している。

 ◆木戸克彦(きど・かつひこ)1961年(昭36)2月1日、大阪・堺市生まれ。PL学園時代、夏の甲子園で優勝。82年のドラフト1位で阪神に入団し、85年の日本一に貢献し、96年引退。プロ14年で965試合、打率2割3分、51本塁打、226打点。1軍のバッテリーコーチや2軍監督を歴任し、05年退団。08年に1軍作戦兼バッテリーコーチで復帰し、09年からヘッドコーチ。11年オフ辞任し、球団本部付次長に就任。