<DeNA6-6中日>◇13日◇横浜

 立浪2世の期待がかかる中日2年目の吉川大幾内野手(20)が、デビュー戦のプロ初打席で適時打を放った。5点差を追いつかれた6回2死二塁で代打で登場。左前にはじき返し、一時は勝ち越しとなる走者を迎え入れた。ミスター・ドラゴンズ立浪和義氏から背番号3を継承した男が、プロとしての第1歩を刻んだ。

 本家立浪のようなしぶとい打球だった。吉川は5-5の6回2死二塁。代打で登場。粘って粘って10球目、DeNA篠原の高めに浮いた125キロのスライダーに食らいつき左前に転がした。「代走」を公言していた高木監督のサプライズ起用に、適時打で応えた。ベンチは一瞬、静まりかえって総立ち。打った本人はもっと驚いた。

 「準備はしてたんですけど、本当なのかなと。最後に甘いボールがきてくれました。バットの先だったんですけれど、いいところに飛んでくれた。まさかこんないい場面でいかせてもらえるとは…」

 1年目は、開幕スタメン入りしたミスター・ドラゴンズ立浪和義のようにはいかなかった。1軍キャンプ抜てきされるも途中で離脱。体を鍛えることで1年が終わった。2年目の今季は1軍に呼ばれるルーキー高橋周の姿を何度も見送った。悔しさと惨めさが入り交じる日々。大先輩から受け継いだ背番号3が重圧になることもあった。

 右打ちだったが、今年5月から本格的に両打ちに転向。そこで自分の打撃を見つめ直した。家電量販店に行き5万5000円のデジタルカメラと脚立を購入した。「(動画の)スロー(再生)ができるものがほしかったんです。自分専用のものがあれば気を使わずに使えますから」。多い日には1日1000球以上を打ち込む。その映像を何度も見返した。

 代打を送った高木監督も驚いた。「運もあるんだろうね。ああいう場面で打つというのは。いっぺんどんなバッティングするか打ってこいって(代打で起用した)。明日は先発だな(笑い)」と笑った。首脳陣とも話し合い当面、1軍では右打席に立つつもりだ。初ヒットのボールを手にした20歳は「実家にもっていきたい」とはにかんだ。まだ始まったばかり。これからも偉大な大先輩を追いかける。【桝井聡】

 ◆吉川大幾(よしかわ・だいき)1992年(平4)8月21日、大阪市生まれ。小1からソフトボールを始め、6年から「葛城JFKボーイズ」で硬式野球を始める。夕陽丘中では「ナガセタイガース」所属。PL学園では2年春夏に甲子園出場。10年ドラフト2位で中日に入団。175センチ、70キロ。右投げ右打ちだったが今季途中から両打ちに転向。

 ◆立浪和義のデビュー戦

 88年4月8日、大洋(現DeNA)との開幕戦に2番遊撃でフル出場。第1打席は敵失で出塁。第2打席は三振に倒れ、第3打席で右翼フェンス直撃の二塁打を放った。試合は1-2で敗れたが、4打数1安打で大物ぶりを発揮した。