海の向こうのジャイアンツにあやかりたい!

 巨人は29日、今日30日からの日本シリーズの舞台、札幌に移動した。MLBのジャイアンツがワールドシリーズを無傷の“スイープ”で制したが、巨人も2連勝しており、4連勝の権利はある。4連勝についての話題に、原辰徳監督(54)は「何を言ってるんだ!」と一蹴するが、全戦フルスロットルの心構えは揺るがない。ホールトン、宮国を先発に起用し、すべての試合を勝ちにいく。

 決戦の地、札幌に乗り込むと、海の向こうのジャイアンツはスイープで頂点に立っていた。負けじと一気に4連勝する可能性を問われた原監督だが、「何を言っているんだ!」と一喝。能天気な質問を相手にしなかった。本拠で2連勝したものの、今日からは敵地で最大3試合。異次元的な戦いが続く中、わずかなすきも見せてはいけない。

 ただ、シリーズでどの試合を重視するかを問われると「1勝1敗があらかじめ決まっているならば、初戦より、2戦目を取りたいよね。でも、初戦も取りたいよな。と、なると、2戦目も取りたいだろ。で、3試合目も取りたい。1戦1戦なんだよ」と話す。敵地ではDH制になるが「守備力が高くなるね。今は交流戦もあるから、違和感はない」と、パの流儀でも、交流戦優勝の経験を見せつける構え。「フルスロットルで戦う」との言葉通り。全戦必勝の魂で臨むつもりだ。

 スイープならば、4戦目先発予定の宮国が決める。20歳の右腕は、もう異次元のゾーンに突入している。「やったるぞ!

 っていう思いです。ただただ、チームの力になりたい。それだけです。CSは3連敗して3連勝。シリーズで2連勝しても、逆に同じことがあると思う。だから、油断というものはないです」と、普段以上に熱く語った。

 5戦目予定の杉内は、札幌ドームの練習は不参加だった。首都圏で個人的に調整し、チームとは遅れて札幌入り。原監督は「放るべく時間を使っている。個人的に時間を使った方がいいと判断した。この前のピッチングも良かったと聞いています。順調にいけば、明日もピッチングに入る」と言った。復帰へ向け懸命の準備。これもまた、フルスロットルだ。

 特別な舞台は選手を成長させる。原監督は「1年目の日本シリーズで、(当時コーチの)牧野さんに『シリーズで1つのゴロをさばくのは、1000本のノックを受ける以上にうまくなる』と言われたんだ。何があっても、記憶にとどめればいいんです」と話す。1戦1戦、強くなる選手とともに、フルスロットルで戦うだけだ。【金子航】

 ◆日米「同じチーム名」の同時頂点

 大リーグのジャイアンツがワールドシリーズ(WS)に出場した年に、プロ野球の巨人が1リーグ時代に優勝または日本シリーズに出場したケースは今回で6度目だが、過去はすべてジャイアンツが世界一を逃していた。日米でジャイアンツがともに頂点に立てば初めてとなる。また阪神タイガース、阪急ブレーブス(47~88年)、西日本パイレーツ(50年)も、同じチーム名の大リーグ球団と同一年にアベックVを飾ったことはない。