日本ハム栗山英樹監督(51)が29日、2連敗で迎える日本シリーズ第3戦(30日、札幌ドーム)で、左手を負傷している中田翔内野手(23)を起用する方針を示した。中田は28日の第2戦(東京ドーム)で左手甲に死球を受けて途中交代。北海道に戻ったこの日は、全体練習の参加を見送って治療に専念した。だが、栗山監督は「行くよって言う」と出場を促す考え。本拠地で迎える第3戦。4番打者の強行出場で、悪い流れを断つ。

 手負いだろうが「4番・レフト中田」は、逆襲のためには欠かすことが出来ない存在になっていた。2連敗中の苦境から脱するために、栗山監督は決断した。

 栗山監督

 札幌ドームの広さを考えれば(中田)翔の肩、守備力は必要。(攻撃も)4番にいてくれると、バランスが取れる。当日の出場は様子を見ながらになるけど、行ってもらわないとね。本人に「行って」ではなく「行くよ」って言う。チームも(中田が)いないと困るという雰囲気になっている。

 中田は前日の第2戦で左手甲に死球を受けて途中交代した。一夜明けた29日、チームは東京から北海道へ移動し、そのまま本拠地の札幌ドームで全体練習を行ったが、中田は1人、参加を見送り、ロッカールームで電気治療とアイシングを繰り返した。

 安静にして回復を待つしかないものの、左手は痛々しく腫れ上がったままだ。中田は「まだ痛いよ。あんなに痛い死球は初めて。リストが利かないぐらいだからね。(守備に就く時)グラブをはめるのも痛かった。すぐに痛み止めを飲んだけど、効かなかったしね」。

 前夜は30分のアイシング治療で患部を冷やしても、5分後には熱を帯びる状態で、眠れない夜を過ごした。144試合、そしてクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージと、ここまで全試合で4番を張ってきただけに「ここにきて試合を休むことは、一番したくない。何が何でも出たいけど、チームの足を引っ張るようではダメ」と、自分自身に言い聞かせるように話した。

 本拠地に戻って仕切り直しとなる第3戦は、負ければ後がなくなる重要な一戦だ。

 栗山監督

 北海道に帰ってきた。これで、普通に戻れる。こういう時こそ、きちっとファイターズらしく守って、点をやらない戦いをしたい。うちの選手は力があると、信じている。

 守ってリズムを作り、2試合でわずか1得点の打線に火を付けたい。4番の強行出場は、吉と出るか、凶と出るか-。栗山ハムの底力が、試される。【中島宙恵】

 ◆日本シリーズ2連敗スタートからV

 連敗スタートした過去32チーム(△●●を含む)のうち、優勝8チームで逆転V確率は25%。最近では昨年のソフトバンクが第3戦からナゴヤドームで3連勝と流れを変えて優勝した。日本ハムでは前身の東映が水原監督の62年に記録。阪神相手に甲子園で2連敗したが、第3戦(神宮)を延長14回2-2で引き分けた後、第4戦で安藤元が完投勝ちしてから4連勝した。