自主トレ案を公募していたヤクルト田中浩康内野手(30)が、今オフの第1弾「異種トレ」として乗馬トレに挑戦だ。11月30日、都内の球団事務所で契約更改交渉を行い、2年2億5000万円+出来高払いの最大3億円規模となる大型契約を結んだ。野手では、昨年の宮本以来の複数年契約。単年換算の1億2500万円は、球団日本人二塁手の最高額を更新した。「気持ちよくサインしました」と納得の表情だった。

 今季は打率2割7分4厘で、1年間レギュラーで唯一ケガでの離脱がなかった。ゴールデングラブ賞、ベストナインの2冠に輝き、今季9800万円から大幅アップを勝ち取った。順当なら来季国内FA権を取得する。引き留めを図る球団側との思惑が合致し、初の複数年契約となった。

 「8年終わりましたけど、また一から再出発の気持ち。来年こそは優勝したい」と気持ちを新たにする。そのためにオフは自主トレに余念がない。これまでバレエ、バドミントン、陸上などさまざまなスポーツに挑戦してきたが、今季の第1弾ターゲットは「乗馬」。「どの種目も体幹を鍛えることが必要」と、野球につながる信念がある。馬を乗りこなすには激しい上下運動に耐えるため、自然と体幹が強化される考えだ。

 すでに乗馬施設は検索済み。偶然にもG1ジョッキーに読み方がまったく同じ「田中博康」もいる。これも縁か。「ケガを防ぐ身のこなしを追求したい」と、総合的な身体能力アップをもくろむ。フェンシングトレにも色気を見せ、「10種競技」制覇も視界にとらえはじめた。【前田祐輔】

 ◆田中の異種トレ

 今年1月には単身で近所のバレエ教室に参加。マダムたちに囲まれながら「最初は腹筋から始まって柔軟性も高まる。野球につながる」と好印象だった。例年、水泳北島ら五輪選手が使用する東京・北区の国立スポーツ科学センターで自主トレを行い、陸上選手らとも親交が深い。正月には箱根駅伝開催中の箱根で「駅伝トレ」も経験。07年には「打倒オグシオ」を目標に掲げ、バドミントンに挑戦した。