大物斬り再現で、マー君が世界に名をとどろかせる。楽天田中将大投手(24)が4日、来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表候補に選ばれた。山本浩二監督(66)による発表よりも早く、WBC公式サイトが選出確定を掲載。他の出場国の大物と一緒に名前を並べた。今回は、新生日本のエースと期待される。田中は09年の第2回大会でヤンキース・ジーターを打ち取った経験を挙げ、大舞台での飛躍を誓った。

 「侍ジャパン」発表会見で、山本監督は投手16人の最後に田中を読み上げた。だが、その約8時間前「マサヒロ・タナカ」の名前が世界を駆け巡った。WBC公式サイトが午前中にニュース更新。選出確定の選手を各国2人ずつ掲載した。ベネズエラには3冠王カブレラ、ドミニカ共和国はヤンキースの安打製造機カノ、米国はメジャー屈指の捕手マウアーに、カナダのモーノー。ビッグネームがずらり並ぶ中、日本は巨人阿部と一緒に田中が載った。

 主催者サイドから「代表の中の代表」に選ばれた証拠。田中本人もネットでチェックし「何と言っていいのか」と驚いた。世界の大物と並び「闘志が湧くか?」と聞かれ「今からだと燃え尽きちゃいますよ」と言ったが、3年前の経験は貴重だった。米国との準決勝。6-2の7回1死走者なしで、あのジーターを遊ゴロ。「自信になりましたね。良い意味でプラスになってシーズンに入れました」と、その年15勝。「ああいう舞台の投球は刺激になる。また何か吸収したい」と大物斬り再現を誓った。

 そこで、自主トレに微調整を加える。約1カ月早い“開幕”を見越し「(1月に)少し早めにブルペンに入ります」と明言。「国を背負う重圧がかかる。野球選手として、そういう舞台で力を発揮できる選手でいたい。準備が大事になる」と口元を引き締めた。

 山本監督は「(田中は)国際舞台を踏んでいるし、精神力もある。同じ若い世代のマエケン(広島前田健)らと、良い意味で張り合ってくれれば」と評価した。明言はしなかったが、3月2日の初戦ブラジル戦の先発有力候補は間違いない。来年2月1日、12球団視察の最初に楽天を選んだ。田中は「意気に感じますね」と笑みを見せ、「目標は世界一」と言い切った。有言実行で、世界の田中を目指す。【古川真弥】