左目眼窩(がんか)骨折に苦しんだ中日のドラフト3位古本武尊外野手(22=龍谷大)が19日、スペシャルアイテムを手にした。中日選手の視力検査などを実施する名古屋市の「キクチメガネ」から目の保護と遮光を目的とした特注サングラスを提供された。

 1個約3万5000円のオークリー社製でレンズは強度の高いポリカーボネート。今回用意されたのは透過率が違う2種類だが、今後はナイター用サングラスも作製するプランもある。山井のように昼夜関係なく、特注サングラスをかけてプレーするスタイルが、古本の個性になりそうだ。

 この日はナゴヤ球場の屋内練習場で視機能測定にも参加した。昨年8月に自打球で痛め、同10月に網膜剥離の回復手術を受けた左目視力が1・25まで戻っていることが判明。一時は「何も見えなかった」状態から、半年間でケガする前の1・5に近づく回復力にキクチメガネの加藤スパーバイザーも「奇跡的」とうなった。

 入念に見え方をチェックした。合同自主トレ終了後もグラウンドに居残り、ドラフト4位杉山翔大捕手(22=早大)とティー打撃を繰り返した。スカウト陣からは飛ばしすぎをいさめる声もあったが、太い手足で力強い打球を連発。夕日に照らされても問題なし。「新しくて見えやすい。違和感ないっす」と上々の手応えだ。

 新たな武器が、古本を強気にした。キャンプ参加は大学の単位取得の関係で2月2日からの予定。大事を取り、序盤は2軍本隊とは別のメニューで調整する可能性が高いが「僕自身はできそうな感じがする」と、フル参加に自信アリの表情を浮かべた。落合前監督の66番を背負うスラッガーの本領発揮が楽しみになってきた。【桝井聡】

 ◆視機能測定

 「中日スポーツビジョンスクリーニング」と題し、名古屋市の「キクチメガネ」と「キクチ眼鏡専門学校」が共催。04年から新人や希望選手を対象に実施して今回で10回目。素早く視覚情報をとらえて体の動きにつなげ、いいプレーができる条件が備わっているかが確認できる。測定項目は次の10個あり(1)静止視力(通常の視力)(2)動体視力(動くものを見分ける視力)(3)コントラスト感度(明暗の判別)(4)眼球運動(激しい動きへの対応)(5)深視力(遠近感の正しい認識)(6)利き目(右か左か、その強さ)(7)眼位(空間のズレ、正しい認識)(8)追従眼(接近物の判別)(9)瞬間視(瞬間的な判別)(10)眼と手の協調性(体に伝えて体が動く速さ)。同様の測定は阪神やオリックスなども行っている。