初打ちから“浜風”攻略の豪快ダ~ン!!

 阪神に新加入した福留孝介外野手(35)が25日、大阪・吹田市内の日本生命総合グラウンドで今オフ初めて、屋外フリー打撃を行った。右翼から左翼へ強い風が吹くなか、ライトに推定飛距離130メートルの柵越えを披露。6年ぶりの日本球界復帰で、中日の主力を張った当時の打撃は健在。期待十分の好発進や!

 バックスクリーンの旗は右から左へと激しくはためいていた。古巣日本生命のグラウンドで福留が強烈なデモンストレーションだ。右翼から左翼への風向きは甲子園さながら。今オフ初めて屋外でフリー打撃を行い、体が温まってきた21スイング目。軽く振り抜いた打球は高く舞い、右翼ポールのはるか上を越えた。

 「(初打ちで)ボールに当たったから、いいんじゃない。スイング軌道や打ち方はこれから数をやっていってね。まずは、しっかり下半身が動いてくれるか。バットを振れる状態であるということだよね」

 新天地の阪神で迎える13年の初打ちを好感触で終えた。数々の左打者が苦しむ「甲子園の浜風」と同じ状況で、逆風をものともせず、オーバーフェンスさせる力強さは頼もしい限りだ。早くも聖地の右翼席を沸かせる光景が目に浮かぶ…。合計99スイングで柵越えは右翼への4本にとどまったが、パワフルでシュアな打撃は健在だった。

 異例のハイペースで調整を進める。「いつもと一緒じゃない?

 打つ場所があるか、ないかだけ」と受け流すが、キャンプ前に屋外で打つケースはこれまでほとんどなかった。例年なら屋内打撃が大半で、屋外での本格的な打撃はキャンプが始まってから。常々「下半身ができるまでは僕はバットを振らない」と話すスラッガーにして長時間の打ち込みは、仕上がりの順調ぶりを物語る。

 「福留流」も貫いた。99スイングのうち右投手を打ったのは、わずか6スイングだけ。大半を左投手で打ち込んだのもポリシーだ。「わざと左で、少し距離を取りながらね。初めだからね。外で打つと、強く振ろうとする。左投手を打つのがちょうど、いいんじゃないかな」。右半身の壁を作る確認作業を行うなど、確立された練習の流れも、第一線で戦ってきた証拠だ。

 社会人時代の球場で汗を流すのは、メジャー挑戦した08年以来、5年ぶりだった。「いままで名古屋だったからね。場所をお借りして」と話す。プロ野球人生の節目に必ず帰ってくる。恩義のある原点の地で、みっちりバットを振り込む。和田阪神では「5番右翼」が決定的だ。逆襲のキーマンは、順風満帆に戦闘態勢を整える。【酒井俊作】