広島堂林翔太内野手(21)が“師匠”以来の、20本塁打を狙う。30日、宮崎・日南市内の天福球場で行っていた先乗り合同自主トレを打ち上げた。守備強化を掲げて臨んだが、時間を割いたのは栗原健太内野手(31)の指導を仰ぎながらの打撃練習。「(本塁打が)減るのは嫌なので20本打ちたい」。本拠地がマツダスタジアムに移転して以降、栗原が達成(09年)して以来となる大台を狙う。

 最後も振り切った。先乗り合同自主トレ最終日。堂林の最後のメニューは特打だった。出発時には昨季29個も犯した失策撲滅を誓い、「特守ざんまい」宣言も飛び出した。だが、終わってみれば「特打ざんまい」。短所をなくすよりも、長所を伸ばす。真のレギュラーをつかみ取るための選択だった。

 「守備をするって言っていたけど、僕は打たないといけないし、ポジションを取りに行かないといけないので。成長した部分を見せないと。去年のように甘くないし、争いに勝たないといけない」

 成長を分かりやすく見せるのは結果だ。打力が最大の魅力の大砲は「(本塁打を)減らすのは嫌なので、20本は打ちたい」と言い切った。昨季はチームトップの14本塁打。これが最低ラインとなる。09年にマツダスタジアムに本拠地を移して以降、20本塁打を記録したのは同年の栗原(23本)の1人だけ。その先輩に師事を仰ぎ続けた。

 だが、アドバイスを体得するまでに至っていないのが現状だ。堂林には左足を地面に着いた際に、グリップも投手方向に流れる癖がある。そのため体が前に突っ込むことで、ヘッドスピードが最速になるのが前方になり、打球がラインドライブしてしまう。その悪癖を防ぐ“間”をつくるため、どの練習よりも打撃に時間を割いた。

 「1歩進んで、2歩下がるって、言われました。あとは技術が上がれば。第1クールから実戦が入ってくるので、感覚が戻ればいいと思うんですが」

 不安がないわけではない。ただ、体重は85キロをキープし、精神面も充実している。あとは技術。2月1日、いよいよキャンプイン。新たに「7」を背負う若武者が、戦いに臨む。【鎌田真一郎】