中日の新外国人エクトル・ルナ内野手(33=パイレーツ3A)が森野に“宣戦布告”だ。キャンプ合流3日目の10日、初めて屋外でフリー打撃を実施。4番候補は広角に打ち分け、視察した巨人スコアラーらをびびらせた。三塁の守備練習も行い「できればサードがやりたい」と発言。森野、高橋周らがいる激戦区に堂々名乗りを上げた。

 沖縄・北谷球場で初めて屋外フリー打撃を行ったルナが、自ら戦いのゴングを打ち鳴らした。

 「ここ8年間はサードを守ってきた。監督が決めることだが、できればサードがやりたい」

 静かな口調で、正三塁手の森野に“宣戦布告”。一、二、三塁に外野も守れるという触れ込みのルナが、期待の2年目高橋周を含めたホットコーナー争いに、堂々の参戦だ。

 ドミニカ共和国ウインターリーグMVPの肩書を持つ新4番候補は、この日も精力的だった。来日間もないこともあり、別メニュー調整を許されているが「状態も良かったので外で打ってみたい」と志願した。

 投手として入団した経歴を持つ井上打撃コーチを相手に45スイング。「僕の特長は広角に打つこと。ホームランを打つのではなく、ライナーを打つことを心がけてやった」。柵越えは1本だけだったが、広角に打ち分け、15本が安打性の当たり。評判通りの打撃を披露した。

 調整段階ながら、ライバル球団の007に強烈な印象を与えた。巨人三沢スコアラーは「タイミングの取り方もいいし、確実。率を残しそう。これからも注目していきたい」。DeNA斉藤スコアラーは「強い打球を飛ばせるノリ(中村紀洋)みたいなタイプ」と警戒。“対戦”した井上コーチは「インコースをさばいたかと思えば、アウトコースも打てる。広角に打つという持ち味はその通りだけど、パワーも持っているなという感じ」と証言した。

 深夜のホテルで出迎えるなど期待値マックスの守道監督は前日9日、ルナの打撃を「ずっと見ないようにしている。楽しみにしたいから」と話していた。この日の帰り際も「見てないんで分からん」と報道陣をはぐらかしたが…。どうやら、監督室から“チラ見”したという。守道監督を我慢できなくさせる魅力的な男。名前の響きはかわいいが、竜を熱くさせる新主砲に期待が集まる。【八反誠】

 ◆エクトル・ルナ

 1980年2月1日、ドミニカ共和国生まれ。99年インディアンスと契約。04年カージナルスでメジャーに初昇格し、4月8日ブルワーズ戦でデビュー。昨季MLB成績はフィリーズで28試合に出場し、打率2割2分6厘、10打点、2本塁打。家族は夫人と1男3女。趣味は映画観賞。187センチ、99キロ。右投げ右打ち。血液型B。