チャンスは放っておけない。阪神福留孝介外野手(35)が6年ぶり復帰の日本球界でいきなり仕事人デビューだ。21日、阪神移籍後、初対外試合のロッテ戦に5番右翼で先発。3回2死満塁で左腕木村の初球、高め直球を逆らわずに左中間へはじき返した。同じく元メジャーリーガーの西岡ら2者を生還させる先制適時打。塁上で久慈コーチとグータッチし、スタンドは六甲おろしが鳴り響いた。

 福留

 同じ移籍してきた西岡選手が目の前で2本打っているんでね。なんとか1本打てて良かったんじゃないですか。1打席目はまずボールを見ようと。違うユニホームを着て投げている相手は感覚も違うし。2打席目はバットを振ることも練習なので、積極的に。

 百戦錬磨のベテランらしく、課題を持って臨んだ虎デビュー戦だった。1回2死一、三塁はフルカウントから投ゴロ。先制機に打ち急がず、ストライクゾーンを確認した。4球目の低めストライクの判定に驚きながら「それを次の打席で頭に入れて。それが試合に出ている時の準備の仕方」。サラリと言ってのけた。

 勝負強さを期待する和田監督も、頬が緩んだ。「チャンスで配球をよんで打球方向まで決めている。さすがだし、そのためにタイガースに来たからね」。守っては井口の飛球をフェンスにぶつかりながらつかみ、細谷の右中間の打球はランニングキャッチ。攻守にスキなしだった。

 沖縄入りして真っ先に部屋をノックして来たのが西岡だった。共闘を誓った2人が同時に対外試合デビューし、そして活躍した。

 福留

 剛が「人のヒットでうれしかったのは初めて。僕が2本打って福留さんが打てなかったら言われるじゃないですか」って。まあ、剛が出て、全員がつないで僕のところに回ってきたのも何かの巡り合わせでしょうし、そういうことをしっかりできたな、というだけ。ああだこうだと言う時期ではないでしょう。

 わずか3回で退いた。されどシーズンへの期待感十分な3イニングのタテジマデビュー戦。猛虎復活へ、頼もしい柱になってくれそうだ。【近間康隆】