<オープン戦:巨人6-2楽天>◇23日◇東京ドーム

 巨人に“ビッグカップル”が誕生した。ドラフト1位、菅野智之投手(23=東海大)が23日、楽天戦に先発し、阿部慎之助捕手(34)と初バッテリーを組んだ。阿部がWBCに出場していたため、約1カ月間の“遠距離生活”を経て、ようやく実現。初回はぎこちなく?

 ピンチを招いたが、2回からは息もぴったりで4回を2安打無失点と抜群の相性を見せた。菅野は開幕2戦目、30日の広島戦(東京ドーム)がデビュー戦となる。

 18・44メートルの距離で会話をしているようだった。菅野が、姉さん女房のサインどおりにテンポよく投げ込んだ。「阿部さんに受けてもらうのは実戦では初めて。『自分がこういう投球をする』というのを全てで分かってもらえたとは思いませんが、少しできたかなと思います」と、デビュー戦の舞台となる本拠地での最終登板を終え、本命との呼吸に手応えを示した。

 まだ、出会ったばかりのコンビだけに、出だしはちょっぴりつまずいた。1回、先頭聖沢からは空振り三振を奪ったが、2番藤田、3番銀次に連続安打され1死一、三塁のピンチを背負った。だが、ジョーンズを143キロ直球で遊直。続くマギーは、追い込んでから「一番、リスクがないのは三振。サインとぴったり合った」と、外角に落ちるフォークで空振り三振を奪い無失点で切り抜けた。

 試練を乗り越えれば2人の距離は一気に近づくもの。2回、先頭の松井。「阿部さんは空振りじゃなくて打ち損じを狙っていたと思う。変化球だったら簡単に終わっていたかもしれないけど、あえて直球勝負をさせてくれた」と、2ボール1ストライクとしてから6球続けて直球勝負を挑んだ。最後はボールのにぎりを少しだけ、ずらしたカットボールで中飛に仕留めた。もはや、この時点でバッテリーは以心伝心だった。

 イニングを重ねるごとに深まっていく姿は数字でも明らかだった。1回は22球を要し11分を費やした。だが、2回は19球で6分、3回は13球で4分で片付けた。登板最終回の4回は、わずか7球で3分半。いずれも3者凡退のパーフェクト投球で順風満帆な夫婦生活を披露した。「シーズンが始まれば、もっと、じっくり見てくれると思いますし、これからも阿部さんに受けてもらえるように頑張っていきたい」と、いつまでも夫婦円満でいられることを願った。【為田聡史】