<オープン戦:中日0-6ロッテ>◇24日◇ナゴヤドーム

 中日のドラフト2位浜田達郎投手(18=愛工大名電)が上々の1軍デビューを飾った。3番手で登板。満塁のピンチを招いたが、1イニングを無失点に封じた。高校時代は日本ハム大谷、阪神藤浪と「ビッグ3」と並び称された将来のエース候補。完封負けで終わったオープン戦最終戦。唯一の明るい材料としてナゴヤドームで輝いた。

 まだ18歳。高校を卒業したばかりの浜田は、ベンチから礼儀正しく脱帽しマウンドへ向かった。出番は5回。肩に手を置いた近藤投手コーチから激励され、直立不動で正捕手・谷繁の指示を聞いた。「強く投げることを心がけた」。ミットというより、ど真ん中だけをめがけて腕を振った。

 初対戦の相手はメジャー経験もある井口。「ずっとテレビで見ていた選手」を、137キロ直球で左飛に打ち取った。その後連打と四球で1死満塁としても踏ん張る。サブローを見逃し三振、岡田を投ゴロ。捕球後は、思わず本塁に送球しそうになったが、われに返って一塁へ。無失点で終えた。

 待ち望んでいた地元ファンの拍手の中、ベンチに戻ると父と子ほど年の離れた山崎、和田ら竜が誇るアラフォーの超一流からねぎらわれた。「子どものころから憧れていたナゴヤドームで、ドラゴンズの一員として投げられた」。ようやく笑顔がはじけた。

 上々のデビュー戦だった。直球の最速は143キロ。自己最速147キロには届かなかったが、躍動感あふれる投げっぷりだった。キャンプは2軍スタート。2軍デビュー戦だった6日の社会人ジェイプロジェクト戦(ナゴヤ)はストライクが入らず4四球で降板と散々だったが、ようやく片りんをみせた。

 高校時代に「ビッグ3」と並び称された日本ハム大谷と阪神藤浪は、当然のようにこの日もオープン戦に出場。開幕1軍に向け順調で、ライバルには後れを取り、ようやくそろい踏みとなった。ただ、焦りはない。「同期として早く対戦したいという気持ちはありますが、今のままでは通用しない」。キャンプ休日には高校の大先輩山崎に食事に連れて行ってもらった。巨漢のキング山崎が「よく食うわ」と驚く食欲は、大成するために必要な要素。才能も含め、ビッグ3からビッグ1に昇格する可能性を秘めている。

 今後は2軍で先発として英才教育される。期待は大きい。顔見せ登板をセッティングした高木監督は今季中のローテ入りについて「そのくらいの期待をしてとっとるピッチャーやでね」と言った。竜投の未来を照らす浜田の26球。記念すべき第1歩だった。【八反誠】

 ◆浜田達郎(はまだ・たつろう)1994年(平6)8月4日、名古屋市生まれ。愛工大名電では1年秋からエース。2年秋の神宮大会準優勝。甲子園は昨春センバツ8強、夏は1回戦敗退。183センチ、90キロ。左投げ左打ち。背番号は43。