<広島3-6DeNA>◇16日◇マツダスタジアム

 DeNA中畑清監督(59)の勝利への執念が、土壇場の逆転劇につながった。1点を追う9回1死から4連打で同点に追いつくと、10回に一挙3点を奪い勝ち越し。ベンチではなく、監督室で勝利を見守り「いい執念を見せてくれた。負け試合の雰囲気の中でこういう結果をもたらしてくれて、めっちゃうれしい」と喜びをかみしめた。

 問題のシーンは同点の6回2死一、二塁で起きた。広島石原の内野安打で二塁走者梵が本塁へ。クロスプレーで生還阻止に見えたが、セーフの判定に猛然とベンチを飛び出した。白井球審に体当たりし、暴力行為で退場を宣告された。昨季9月16日ヤクルト戦以来、2度目の退場だった。

 決して許される行為ではないが、黙っていられなかった。負ければ借金は3となり、昨年まで定位置となっていた最下位が見えてしまう。負け続けたチームだけに、1度転落すればムードが停滞して再浮上が難しい。だからこそ、今が踏ん張り時と見ている。前日15日の練習でも「どんなカードでも3連敗はダメ。(カードの)頭を勝つことがすごく大事」と力説。広島は昨年6勝16敗2分けと大幅に負け越した天敵だが、何とか勝利を手にしたかった。その思いが抗議に出てしまった。

 ただ、選手にも十分に伝わっていた。10回はラミレスと代わった松本がつなぎ、中村と交代した山崎が2点適時打。ベンチ一体で踏ん張っての勝利で、借金1と勝率5割も見えてきた。【佐竹実】