<巨人8-1阪神>◇17日◇東京ドーム

 巨人杉内俊哉投手(32)が、ようやく今季初勝利をつかんだ。8回6安打1失点。味方の大量援護に背中を押されるように、テンポよく投げ込み、阪神打線を切り捨てた。昨年9月以来の白星に「半年ぐらいですからね。長かった。投手は勝てないとおもしろくない。今日、勝てたことはすごくうれしいです」と、久々の感触に酔いしれた。

 絶対に守りたいマウンドだった。2点リードの4回。先頭マートンの強烈な打球が左足首を直撃した。ベンチから、トレーナーと川口投手総合コーチが駆け寄ったが、冷却スプレーをしただけで、なりふり構わず投球練習を再開。「ここで降りたら一生、勝てないと思った。痛くても『投げないといけない』『勝たないといけない』と思った」と、逆にスイッチが入った。後続を3人で片付けると、以降は7回まで無安打投球で突っ走った。

 復調のシグナルが勢いをもたらした。本来、苦手とする立ち上がりの1回。直球主体で攻め、ファウルでカウントを稼いだ。「1つのバロメーター。ファウルを打たせることは大事。それで調子が分かる」。130キロ台終盤の直球を相手打者のバットは、ボールの下をこすった。最大の武器でもあるキレが、戻ってきたことを実感できた。リードした阿部も「今日は良かった。直球でファウルをとるのが、彼の持ち味だからね」と、うなずいた。

 昨季はチーム最多の貯金8(12勝4敗)を稼いだ勝ち頭が、復活をアピール。原監督も「1回から非常に良かった。本来のいい投球で粘って、球のキレ、腕の振りも良かった。安心して見ていられた」と、評価した。先発ローテでもっとも遅い初勝利となったが、杉内は「1勝はすごく大事。するか、しないかでは全然違う。次に向けて勢いがつきますからね」。強すぎる巨人が、さらに強くなる1勝を手にした。【為田聡史】

 ▼巨人は12勝2敗2分けで貯金10。巨人が2敗以内で2ケタ貯金に乗せたのは、06年(12勝2敗1分け)以来7年ぶり8度目。東京ドームでは開幕から1分けを挟み10連勝。昨年からは通算14連勝となった。巨人の本拠地最多連勝は83年に後楽園でマークした15連勝で、今日も勝てば並ぶ。