<西武1-2オリックス>◇17日◇西武ドーム

 待ちに待った初勝利や!

 オリックス海田智行投手(25)が6回6安打1失点でプロ初勝利を挙げた。体が反り返る癖を修正したフォームで粘りの投球。同点に追いつかれ、降板した直後に自軍が勝ち越し白星が転がり込んだ。長い長い海田物語がスタートした。

 海田が粘ってのプロ初勝利だ。「最高の気分です。先発してからなかなか勝てなくて。昨季終わってから、このときのためにと思っていたので。ウイニングボールは、ここまで育ててくれた両親に送ります」と喜んだ。

 強気だった。1点リードの5回、四球と安打で2死二、三塁のピンチを迎えた。打者は好打者栗山。「インコースを打ちづらそうにしている」と感じると、果敢に攻めた。追い込んでからの5球目。「あそこしかないと思ってました」と134キロの直球を内角いっぱいに投げ込み、見逃し三振に打ち取った。

 6安打を浴びながらも要所を締める粘りの投球。同点に追いつかれてマウンドを譲ったが、直後に李大浩が勝ち越し弾を放ち、白星が転がり込んできた。「早い回で降りて情けなくって、悔しくて。でも、『こうなりゃ応援だ』と思って応援していました」。声をからす海田を勝利の女神は見捨てなかった。

 キーワードは「へそとあご」だ。秋季キャンプから西本投手コーチ兼バッテリーコーチとともに体が反り返るフォームの修正に取り組んできた。あごを引き、へそとの距離に意識を集中させると、リリースが安定し荒れ球が少なくなった。

 負ければチームが転落していきそうな展開で2年目左腕が食い止めた。「いつになったら勝てるんかね?

 そろそろ勝ちたいよ」と打ち明けた日もあった。左腕にもチームにも最高の日に白星がついた。【池本泰尚】