<広島3-5中日>◇27日◇マツダスタジアム

 守道竜の大幅テコ入れが大当たりだ。中日は26試合目で初めて4番に好調ルナを入れ、3番和田、5番森野の新中軸を結成。1番大島と7番藤井以外は全員前日と違う新オーダーが、初回からハマった。和田が広島中崎から先制適時打すると、森野も右中間へ2点三塁打を放つなど一挙4点。序盤で主導権を握った。「毎日何とかと考えているんだ」。低迷チームに初めて加えたカンフル剤。その即効性に高木守道監督(71)もうなずいた。

 主役は復活を印象づけた森野だ。不調のクラークが前日自打球を当てた影響もあり、18試合ぶりのスタメンに抜てきされた。しかも5番の重責。森野も燃えていた。「もう気持ちだけ。気持ちだけで前に飛ばしました」。初回の適時打は迷わず二塁を蹴る好走塁で三塁打にした。さらに藤井の浅い右飛でも本塁へ激走、4点目を刻んだ。その後も快音が続き初の猛打賞だ。

 05年のスタメン定着後、ベンチを温めるのは今年が初めて。だが決して腐らず、むしろ初心に帰った。「若い時はこういうチャンスをモノにしてレギュラーを取ったんですから」。96年に遊撃手で入団したがすぐ結果は出ず、長い2軍生活も味わった。だがいつかはレギュラーの志は忘れず、外野も二塁もやった。そしてあこがれの立浪和義から三塁を奪ったのは10年目のことだった。あのころの熱さを思い起こし、やっと巡ってきたワンチャンスをつかみ取った。

 高いレベルを求める監督は「本人は(凡打した)あとの2打席で気分悪しとるんやない?」と満足はしなかった。だが「もちろん!」とスタメン継続を明言。「僕は必死ですよ、必死」と語気を強めた17年目の34歳が竜の逆襲を導く。【松井清員】