<阪神5-6広島>◇29日◇甲子園

 今季初登板した阪神秋山拓巳投手(22)が投げて打って奮闘した。昨年6月以来の勝利は逃したが、26日に22歳になったばかりの右腕が甲子園で躍動した。

 ようやく巡ったチャンスに燃えていた。ルーキー藤浪が開幕ローテ入りを果たす中、1年目の10年に4勝を挙げ期待を集めた右腕はもがいていた。ファームでは力感ある投球を取り戻そうと投球フォームを変え、ワインドアップ投法も取り入れた。4月上旬には1軍からの「中継ぎ指令」を受けたが、ファームで結果を残せず歳内にその座を譲った。たまった思いを、爪を負傷したエース能見の代役マウンドにぶつけた。

 1回、菊池にソロを浴びたが、取られた分はバットで返した。2回、同点になった直後の1死満塁。愛媛・西条時代は「伊予ゴジラ」の異名も取った左打席から初球を打ち返し、鋭いライナーでバリントン強襲。記録は二ゴロとなったが、一時は勝ち越しとなる打点をマークした。その後大和の適時打で生還したが、そのときアクシデントが起きた。「ちょっとつっていました。右足です」。3回は中西投手コーチに付き添われたが問題なくマウンドに上がると、3回から5回を3者凡退。「問題はなかったです」。自らマウンドを下りるわけにはいかなかった。

 6回は1点を返され、なおも2死二、三塁の危機を残して降板。「あそこを自分で抑えないといけなかった」と悔やんだ。救援した鶴が同点として勝ち投手の権利は失ったが、復活をかける力投にスタンドからは拍手が送られた。次回は能見が復帰する見込み。秋山は課題と収穫を手に、2軍で次の機会を待ち調整する。【山本大地】