<楽天4-10巨人>◇23日◇Kスタ宮城

 楽天が巨人打線に屈した。先発の美馬学投手(26)が、プロ最短KOで3敗目を喫した。1回、巨人長野久義外野手(28)に2試合連続となる先頭打者本塁打を浴び、その後も勢いを止められなかった。1死満塁から3連続適時打を浴びるなど、6失点で降板となった。打線がジワジワと追い上げたが、8回に失策絡みで4失点し、万事休す。美馬の乱調が最後まで響き、連勝は3で止まった。

 避けたかった最悪の事態が起きた。1回、美馬の3球目だ。捕手嶋の構えたミットは外角低め。ボールはスーッと真ん中高めへ。左翼席へ運ばれ、巨人打線に火をつけた。1回6失点でプロ最短KO。ぼうぜんと立ち尽くした。「何もできなかった。本当に申し訳ない。せっかくいい流れで来ていたのに、申し訳ないです」と謝るしかなかった。

 これで今季早くも8本目の本塁打を浴びた。リーグワーストで、弱点の1発病がいきなり出てしまった。昨季も12本塁打を浴び、ロッテ成瀬、西武石井に次いで3番目に多かった。昨季、美馬の球種は基本的に直球、スライダー、カーブが中心で、狙い球を絞りやすいことも一因にあった。

 打開策の鍵は「内角攻め」だった。今季からシュートを多投。持ち球だったが、捕手の嶋から「美馬のシュートが一番いい」と言われるほど精度が上がった。美馬だけでなく、エース田中、戸村ら右投手は今季、シュートを有効に使っている。星野監督が「強打者ほど内角を攻めないと、打ち取れない」と言うように、チーム全体で内角攻めを徹底している。ただ、「甘くなれば長打もある危険な球」(嶋)でもある。この日の美馬は、その落とし穴にはまった。

 1回、ロペスに浴びた安打も内角シュートが甘く入り、村田の2点適時二塁打も内角要求の球が外角へいく失投だった。星野監督は「コメントのしようがない。話にならん。6点とられたらまず逆転できない」と厳しく切り捨てた。

 終盤の8回にはバント処理の失策などが絡み4失点。ジワジワと追い上げていただけに、痛いミスとなった。「声の連係もない。そういうところだな。野球が下手」と同監督。前夜はエースで先勝したが、一転して惨敗した。強敵相手に投手が懐を攻めきれず、野手にもミスが出ては勝てない。リーグ優勝を狙うには、スキを1つ1つなくす必要がある。【斎藤庸裕】