優勝の使者や、Gハンターや!
阪神と正式契約を交わしたブレイン・ボイヤー投手(31=ロイヤルズ3A)が27日、球団事務所で入団会見に臨んだ。背番号「44」、年俸は推定40万ドル。最速158キロを誇る長身右腕は趣味のハンティングになぞらえて「今年はラビットシーズンにしたいね」と不敵にG倒を宣言。ボイヤー加入でブルペンが厚くなり、首位奪取が見えてきた。
虎の新戦力は、ハンターだった。最速158キロの速球で何を射る?
答えはひとつだった。ボイヤーは不敵に言った。
「OK!
今年はラビットシーズンにしたいね」
巨人のマスコットが「うさぎ」と聞くや、即座に反応した。阪神に必要不可欠なG倒の精神が、来日2日目の右腕にも宿っていた。
米国ジョージア州出身で、子どもの頃からハンティングを楽しんできたという。鹿や鴨が主なターゲットだが、記憶をよみがえらせた。
「かなり昔にうさぎを狩ったことがある。チキンみたいな味がした」
仕留めたばかりか、食したことまである。遠く離れたタテジマの猛虎と、奥底でつながっていた。
今回のリリーフ強化は、長いペナントレースの終盤を見据えている。球団フロントと現場が意見を一致させ、補強に動き、望んでいた人物に出会った。それがボイヤーだ。メジャー通算233試合登板を誇る救援のスペシャリスト。最速は158キロで、今季もそれに近い球速を計測しているという。
「日本で100マイル(約161キロ)を投げられるようにしたい」
カーブやフォーシーム、スプリットも織り交ぜ、三振を狙って取れるタイプだ。今季はロイヤルズ3Aで13試合を投げた。15回で18奪三振とイニングを上回っている。阪神のブルペンは、ベテランの味で勝負しており、パワー型の加入は願ってもない。今後は2軍で調整し、早ければ交流戦中にも1軍デビューする可能性がある。
「伝統のあるチームで、勝ちに飢えている印象がある。熱狂的なファンの応援があり、米国で言えば、ヤンキースやレッドソックスのようなイメージがある。こういうチームで投げられる機会をもらって、光栄だ。巨人を追い越して、優勝するためにここに来た」
風貌も「優勝の使者」を予感させる。発表された背番号は「44」。85年の日本一に貢献したバースが背負った数字だ。同じように、アゴヒゲを蓄える。投手としてバース級の活躍で巨人を撃墜-、そんな夢が膨らむ。【田口真一郎】<ブレイン・ボイヤー
アラカルト>
◆生まれ
1981年7月11日、米国ジョージア州アトランタ出身。
◆経歴
00年ドラフト3巡目でブレーブスに入団。09年からカージナルス、ダイヤモンドバックス、メッツなどでプレー。
◆日本球界の友人
8歳の時、リトルリーグでマートンと対戦。中堅だったボイヤーは「今も付き合いがあるよ。スタンリッジとは仲がいい」。楽天のA・ジョーンズとは2年間、一緒にプレー。広島ニックとも旧知の仲。
◆日本食
米国ではすしも楽しんだ。「米国のものは、アメリカナイズされている。フィラデルフィア・ロールやスパイシー・ツナロール。本物のすしを早く食べてみたい。ステーキも楽しみだ」。
◆投手は18歳から
アマ時代は主に野手。高校最後の試合で初めて投手としてマウンドに上がり、ブレーブスのスカウトの目に留まった。
◆優勝経験
ブレーブスの05年に地区優勝。03年、07年にマイナーで優勝。
◆サイズ
191センチ、102キロ。右投げ右打ち。