<巨人5-3楽天>◇8日◇東京ドーム

 ハーラートップタイとなる6勝目は、巨人菅野智之投手(23)の向上心から生まれた。2回、菅野は楽天のキーマン、4番ジョーンズと対した。速球でファウルと空振りを奪い、1ボール2ストライクからの4球目。116キロのカーブを真ん中に投げ込んだ。見逃し三振。ジョーンズが、思わず白い歯をのぞかせるほど、虚を突いた攻めだった。

 この攻め方は楽天田中から学んだもの。5月22日の楽天戦(Kスタ)。ベンチで待機要員だった菅野は、相手チームの先発田中をじっくり観察していた。「いいものを見させてもらいました」と、試合後には収穫を口にした。その1つが、カーブの使い方だった。

 菅野

 (坂本)勇人さんへの3球三振はしびれました。まさかあそこでカーブとは。全く頭になかったです。調子が良くはない中で、どうやって投げていくのか勉強になりました。

 その試合でチームは田中に抑えられ、星を落としたが、菅野はそこからしっかり学び取り、登板に生かした。「カーブを有効的に投げられたと思う」と、6勝目のマウンドを振り返った。振ってこないジョーンズにバットを出させ、積極的に打ってくるマギーは際どいボールで誘った。自分の形では打たせない。徹底した危機管理が出来ていた。これも田中から学んだこと。

 菅野

 田中さんは、絶対にやっちゃいけないことをやらない。徹底していた。長野さんに内角球を先頭打者ホームランされた後は、インコースには1球も投げていなかった。

 「調子は良くはなかった」という中、勝利を呼び込む投球ができたのは、田中から投球術を吸収したから。「めちゃめちゃうれしい。久しぶりに勝ったので」と言って見せた笑顔の裏には、内容や結果以上の手応えがあったはずだ。【竹内智信】