孤独な「仕返し特訓」だ。阪神西岡剛内野手(28)が打倒・巨人へ向けて異例の室内打ち込みを行った。巨人戦が雨天中止となった3日、トップバッターは練習でグラウンドに姿を見せず、室内練習場で打ち込んだという。同様の練習を行った5月18日ソフトバンク戦では先頭打者本塁打を放つなど効果はてきめん。延長11回の熱戦で敗れた前日、「仕返しする」と感情をあらわにした男は、水入りにも静かにリベンジの準備を整えた。
西岡の姿がなかった。試合前の練習。主力が次々とフリー打撃を行う甲子園のグラウンドに、背番号「7」はいなかった。前日の巨人戦では最終打席となった11回、遊ゴロに激走で一塁に駆け込んだシーンがあった。脚に不安を抱えているだけに故障かと色めき立つ周囲に、和田監督は冷静に説明した。
「中で打っている」
虎の切り込み隊長は、ただ1人、室内練習場にこもっていたという。一体何を…。鉄のカーテンに閉ざされた練習の中身は確認できないが、水谷チーフ打撃コーチは故障の可能性を否定し、調整を全面的に任せていることを強調した。
「中で打っとるよ。練習は出ていないけど、試合には出るよ」
実は、こうなった時の西岡は驚異的な勝負強さを発揮する。同じように試合前の練習でグラウンドに姿を見せず室内で打ち込んだのは5月18日。甲子園でのソフトバンク戦で先頭打者本塁打を放って勝利を導いた。試合後に「室内なんか行ってへんよ。連敗してるから、神社に手を合わせに行ってただけ。試合前に神社参拝したかいがありました」と西岡流のジョークで打ち込み効果を認めていた。
延長戦惜敗の前日は2安打を放った。3戦連続安打と状態も上向いてきたが、敗戦に悔しさを隠さなかった。「3つあるので、仕返しできるようにやるだけです」と言い残して、クラブハウスへと消えた。やられっぱなしで終わらない。それが西岡だ。雨天中止で、仕返し機会は今日4日に限定される。それがまた、集中力を高める。
「任せとるんや。あいつは変わっとるから」
水谷チーフ打撃コーチは笑みを浮かべながらこう言った。調子や精神状態を見極め、自分の判断で練習メニューを決めることができる。「変わっとる」は褒め言葉だ。西岡なら、やり返してくれる。姿を見せなかった男に、そんな期待感を示していた。【鈴木忠平】



