<中日6-2広島>◇4日◇ナゴヤドーム
ベテランがチームを救った。3試合ぶり先発復帰の中日荒木雅博内野手(35)のひと振りで、鮮やかに逆転勝ちだ。1点を追う8回2死一、二塁で右中間へ逆転の適時二塁打。1番大島が敬遠された直後だったが、感情をコントロール。完璧な仕事をやってのけた。負けていれば4連敗で借金は今季最多の12まで膨らんでいた。高木監督も「すべてを取り返してくれた」と最敬礼だ。
仕事人・荒木は表情ひとつ変えなかった。4連敗が現実味を帯びてきた1点を追う8回。2死一、二塁で好投するバリントンの高めに浮いた直球を狙い打った。快足を飛ばし二塁に到達した。わき上がる歓声の中でも、口元さえ緩めなかった。理由は「相手もある。試合もまだ終わっていない」から。まさにプロの仕事だ。攻略法も狙いも「今後のことがあるんで教えられない」とまで言った。
燃える材料はいくつもあった。直前で決して好調ではない大島が敬遠された。さらに、この日は3試合ぶりのスタメン。2日の今カード初戦(豊橋)では、4試合連続安打中と好調だったがスタメン落ち。代わりに先発野村に相性のいい森野が先発出場していた。
実績十分のベテランだが取り巻く状況は厳しい。今季は右翼も守った。胸の内にはいろんな思いがあるはずだが、そこで心を磨いている。「日ごろから、いかに無心でやれるかという練習をしています。本当に野球というのは気持ちの面が難しい。今季はいい勉強をしながらやらせてもらっています」。スタメン落ちしても腐らず、大島が敬遠されても動じない。この揺るぎない心の強さが、野球の神様のハートを打った。
荒木のひと振りに、高木監督も最敬礼だ。「いや~。すべてね。(2日の)豊橋からいろんなミスがあって(前カード)横浜のいいつながりがなくなっていたところを、荒木がすべて取り返してくれた」。竜の看板「アライバ」は若返りというお題目で、ベンチスタートの日もある。守道監督は「もうやっぱ荒木、井端、彼らにとっては屈辱だと思うよ。俺もよう分かるけど…。いかんせんウチはこういう状況。直倫(堂上直)も使って、森野のバッティングも必要。それでも彼らの頑張りなしに巻き返しなんてない」と続けた。この夜、荒木はひと振りでこたえてみせた。【八反誠】



