<広島1-3阪神>◇5日◇マツダスタジアム

 いつ打つの?

 そりゃ今なり!

 6番右翼で先発した阪神今成亮太捕手(25)が、プロ8年目でうれしい1号を右翼席へかっ飛ばした。新井の同点弾に続くソロがV弾になった。前カードの巨人戦ではバントと守備のミスで落ち込んだが、汚名返上のチャンスをものにした。福留の長期離脱で埋まらない右翼。捕手登録の好打者がバットで猛烈アピールだ。

 「主役」に、やっとなれた。阪神今成が感激のプロ初アーチをかけた。信じられないという顔つきでベースを1周する。和田監督が笑顔で迎えていた。ヘルメット越しにたたかれる頭が心地いい。さあ、締めだ。何度も何度も、盛り上げ役としてやってきた、あのポーズ。指を3本立てて、思い切りバックスクリーンへ向けて両腕を振った。

 今成

 自分でもどうなったか分からないぐらいです。外野を越えてくれ、と思ったけど、入ってビックリしました。1本出るまで長かったですが、勝利に貢献できてうれしいです。

 「貢献」と簡単に片付けられないほど、値千金だった。1点を追う2回、1死から新井が同点本塁打。余韻が残る3球目、武内の高め直球をたたくと緩やかな弧を描いた。右中間スタンド3列目に着弾する2者連続アーチ。プロ8年目、ちょうど通算200打席で初めてフェンスを越えた打球が決勝弾になった。

 「感謝」を繰り返した。日本ハムから加入した昨季は単身赴任。年明けから11年に結婚した裕衣夫人を関西へ呼んだ。「両親もそうですし、嫁さんにも感謝です」。父は阪神チーフスカウトを務めた泰章氏。野球に導いてくれた親、恩師、栄養バランスを考えてくれる最愛の人の顔が浮かんだ。1球じゃ足りない。ホームランボールの行き先は「ノーコメントです」と、いたずらっぽく笑った。

 「好機」だ。本来は捕手。柔らかいリストを生かした打撃で、外野での出場が増える。慣れない右翼で2日の巨人戦では拙守もあった。バントミスもした。それでも、打撃コーチに「毎打席、代打の気持ちで」とアドバイスされた前日4日に今季初のマルチ安打。福留が故障離脱する今、交流戦中から新星出現を願う指揮官を喜ばせた。

 和田監督

 徐々にスタメンに慣れてきて、これを続けてほしい。(右翼に)定着してくれたら一番いいけど、まだポジション争いする若手はアピールしてほしい。もっと競争していかないと。ちょっと時間がたてば、(福留)孝介も帰ってくるしね。

 殊勲者はお立ち台で照れた。「藤井さんにおもしろいこと言えと言われたのですが…」。日本ハムではイベントで披露する特異?

 なダンスで愛された。6月23日DeNA戦の試合前は、湘南乃風の歌にノリノリで踊った。明るい性格で欠かせないムードメーカー。「まだまだ実力が違うけど、孝介さんが戻ってきてもライトのポジションを守れるように頑張りたい」。たくましく定位置奪取を宣言した。【近間康隆】<今成亮太(いまなり・りょうた)アラカルト>

 ◆生まれ

 1987年(昭62)10月6日、埼玉県。

 ◆球歴

 浦和学院時代は、2年夏と3年春に甲子園に出場。05年高校生ドラフト4巡目で日本ハムに入団した。

 ◆親子鷹

 父泰章さんは元阪神スカウト。現在は日本ハムのスカウトでダルビッシュらを担当した。プロ入り前は、ドラフトの話は家では禁句だったという。

 ◆移籍

 12年4月28日、捕手の補強策として若竹との交換トレードで阪神に。

 ◆憧れはバース

 幼少期は父に連れられ甲子園で阪神を応援。「バースが好きだった」。

 ◆母校V

 今春のセンバツで母校の浦和学院が優勝し「ジーンと来た。勝負強さを見習いたい」と感激。1学年下にモデルの菜々緒がいるが、全校生徒数2000人を超えるマンモス校のため、存在は知らなかったという。

 ◆サイズ

 178センチ、76キロ。右投げ左打ち。

 ◆推定年俸

 720万円。