<ウエスタン・リーグ:中日1-3オリックス>◇28日◇ナゴヤ球場

 憲伸が帰ってきた。右肩痛で大きく出遅れていた中日川上憲伸投手(38)が今季初登板した。先発し、予定の3回を2安打無失点。昨年のクライマックスシリーズ(CS)巨人戦に先発して以来の実戦復帰で結果を出した。最速も140キロ止まりだったが、大きな1歩を踏み出した。

 ふっと大きな息をついてマウンドに立った。憲伸がようやく大きな1歩を踏み出した。公式戦登板は昨年10月20日のCSファイナルステージ巨人戦(東京ドーム)以来、281日ぶり。だが、そこはやはり中日のエースとして君臨した115勝右腕。冷静だった。

 「いろいろな思いはありましたけど、暑さですべて飛んでいって、逆に集中できた」と笑わせる余裕があった。

 投球はすべてセットポジションから。振りかぶって投じるあの豪快なフォームではなかった。球種も直球、カットボール、カーブのみで最速も140キロ止まり。だが、低めへのコントロール。打者のタイミングを外す100キロ台のスローカーブ…。全盛期の迫力こそないが、打者を手玉に取る投球術はさすが。打ち取ると、打者に向かってピョンと跳ねる躍動感。9カ月のブランクを感じさせない投球で、予定の3回を無失点にまとめた。

 「今日は相手と対戦する感覚を戻したかった。(打者の)カーブの見逃し方を見て、ああこうやってカウントを整えて、抑えていくんだなと思った」

 まだ納得する投球には至っていない。即1軍昇格を期待する声に対しても「コントロールも内容もそんなに良くない。コースにきっちりというわけじゃない。1軍ならどうなるかわからない」と首を横に振った。今中投手コーチも「まだ一気に1軍登板というわけにはいかん」と説明した。現状では先発投手陣も足りており、1軍昇格に期限を設けることはない。

 ただ、憲伸の力が必要になるときが必ず来るはず。元エースの巻き返しが始まった。