<巨人6-3ヤクルト>◇7月31日◇東京ドーム

 早くも連覇へのマジックが見えた。巨人笠原将生投手(22)の投打にわたる活躍で、ヤクルトに連勝した。6月26日広島戦以来、今季2度目の先発で5回4安打2失点で4勝目を挙げた。打撃でも4回に投手では球団史上3人目となる2点適時三塁打で貢献。決勝打の中井、プロ初適時打を放った橋本と「平成生まれ」の若武者の活躍で今季5度目の5連勝を飾った。阪神が中日に敗れたため、最短で3日にマジック43が点灯する。

 すっぱりと開き直った。笠原が初手から追い込まれた。1回、安打と2四球で1死満塁のピンチを背負った。「緊張しすぎて…。阿部さんには申し訳なかったんですが、変化球は自信がなかったので真っすぐでいきました」。5番川端、6番畠山に対し、ともにボール先行の打者有利カウントで直球を投げ込んだ。三邪飛と右飛でしのぎ、無失点で試合をスタートさせた。

 最大のピンチを切り抜ければ怖いものはない。続く2回も2四球と野選で無安打の2死満塁。3番ミレッジをフルカウントから直球で遊ゴロにねじ伏せ、またしても無失点で切り抜けた。「変化球はストライクが入らなかったのでストレート1本。力まないことだけを意識して『打ち損じてくれ!』と思って投げた」と、素直に心中を明かした。

 あどけなさが残る若者には無限の力が宿る。「『中井さん、打ってくれ!』と祈りながらネクストにいた。うれしかったです」。4回、中井の逆転打を見届けるとテンションは一気に上がった。なお2死一、二塁の好機で自らの打席に立つと、1ボールからヤクルト八木の直球をフルスイング。「初めての感触だったので、ボールがどれくらい飛ぶか分からなかった」と、打球はぐんぐん伸びる。中堅越え2点適時三塁打が自身プロ初安打になった。

 昭和の巨人を支えた大投手にバットで肩を並べた。東京ドームでの投手の三塁打は91年の桑田、92年の斎藤雅に続き、球団史上3人目。「足が遅いので三塁は無理だと思っていたんですが…」と、言いながらも、悠々とベースに到達。ベンチに向かって屈託ない笑顔でガッツポーズをつくった。

 平成生まれの「仲間」とは肩を組む。前夜の主役橋本も、この日、プロ初適時打をマーク。「同世代の活躍は自分のことのようにうれしいです」と、ライバルという感覚とは、また違う。一緒にお立ち台に上がった中井も「笠原が粘って粘って粘って投げていたので、なんとか点を取ってあげたかった」と、呼応した。平成生まれの“ゆとり世代トリオ”が新しい力をチームに吹き込んでいる。笠原は「ゆとり世代と言われるのは、そんなに嫌じゃないですよ。ゆとりなりに頑張ろうと」と、どこまでも愛らしかった。【為田聡史】