<西武7-6日本ハム>◇7日◇西武ドーム

 西武の頼れる4番、浅村栄斗内野手(22)が逆転サヨナラ3ランを放った。2点を追う9回2死一、二塁で、日本ハム武田久から右翼席へ運んだ。自身初の20号に乗せ、この日4打点でリーグトップの打点を73に伸ばした。前半戦、投手陣を引っ張ってきた菊池雄星投手(22)の故障離脱が決まり、負ければ尾を引く一戦を土壇場でものにし、4番の勝負強さを印象づけた。

 22歳の若き4番は、負けられない空気を肌で感じていた。8月に入って失速気味のチームに追い打ちをかけるように、左肩を痛めた菊池が離脱した。浅村は「ライオンズの勝ち頭だし、チームを離れることは絶対にマイナス。とにかく今日の試合は負けられないと思っていた。今年一番しびれましたね」。1歳後輩の無念の思いもこめて、負けゲームを一振りでひっくり返した。

 点を取られては取り返す熱戦は4時間を超えた。時計が午後10時を回り、自粛した鳴り物応援がピタリとやむ。「静かになったな」と頭はクールだった。4度目のリードを許して迎えた9回。2死一、二塁で点差は2点あった。西武ドームに響く「浅村、浅村!」の大合唱。名前を連呼する声援に後押しされるように打球が伸び、右翼スタンドへと吸い込まれた。

 逆転サヨナラ3ランの呼び水は、準備にあった。日本ハム抑えの武田久に対し「無理にオーバースイングせずに、コースにさからわずに、自分で終わらないように」と考え、外角直球をとらえた。「逆方向にホームランが打てるようになったこと、打席の前にドタバタしなくなったことが成長だと思います」。打席に入る前、状況と狙いを頭の中でシンプルに整理することで、フルスイングに迷いがなくなった。

 1点を追う7回にも右前に同点打を放ち、3安打4打点。リーグトップの打点を73に伸ばした。2軍調整中の主砲・中村が左肩を痛め、実戦復帰が遅れるなか、4番の代役以上の働きぶりを見せている。渡辺監督は「あの場面で右に持っていくとは。今年はだいぶ成長した。浅村の執念というか、集中力。チームへの思いを感じた」と絶賛した。シーズン途中、能力の高さを買って打順変更した「4番・浅村」は、チームを救う会心の一手となった。【柴田猛夫】