<西武1-2日本ハム>◇8日◇西武ドーム

 何とか前夜の悪夢を拭い去った。日本ハムが延長11回の末、西武に競り勝ってカード勝ち越しを決めた。11回2死二塁から陽岱鋼外野手(26)が右前へ適時打を放ち決着。逆転サヨナラ3ランを浴びた前日7日のショックを引きずらず、連敗を阻止。今季延長戦は3勝1敗1分けとなった。

 ゆったりとした語り口が、充実度を物語っていた。栗山英樹監督(52)はいつもの早口は封印した。延長11回、4時間17分を制した余韻にどっぷりと浸った。「あきらめないことがうれしいよね。前に進んでいると思う」。終盤に追いつき、最後は勝ち越して逃げ切った。前夜に逆転サヨナラ弾を浴びた守護神・武田久が3者凡退締め。いつも喜怒哀楽いっぱいだが、神妙な表情でかみしめた。

 タクトに込めた思いが、しびれる攻防に染み渡った。延長10回。一打サヨナラの2死三塁のピンチで、勇気を振り絞った。栗山に2ボール1ストライクと打者有利のカウントにしたところで、大胆な決断をした。中嶋兼任バッテリーコーチの進言もあり、対戦途中で勝負を避けた。同コーチを捕手・大野のもとへ出向かせ、四球を指示。続く前夜にヒーローをさらわれた浅村も敬遠し、満塁策を選んだ。

 右投手の谷元で、左の巧打者の秋山。セオリーではないようだが、この日まで8打数1安打と抜群の相性にすがった。遊ゴロで切り抜け、しのいだ。栗山監督が「(中嶋コーチが)背中を押してくれた。谷元もよく頑張った」と紙一重を助けてもらい、感謝した。その直後の11回に先頭打者の赤田が激走の内野安打で出塁してできたチャンスで、陽岱鋼が決勝の右前打。強気の一手の効力だった。

 延長10回に打撃不振でベンチスタートさせた大谷をプロ初の代走起用。6日に4安打も、前夜は先発を外れた赤田が奮起し、辛勝をお膳立てした。かみ合っての会心の夜。陽岱鋼は「1試合1試合、全力でいく」と全員の思いを宣言した。栗山監督も続けた。「まだまだ1つずつクリアしていかないといけない」。夢を見るには厳しい上位とのゲーム差だが、希望の光をともしていくしかない。【高山通史】