<巨人7-2中日>◇17日◇東京ドーム
平成のバックスクリーン男だ!
巨人長野久義外野手(28)が逆転の14号3ランを豪快に中堅へ運んだ。1点を追う6回2死一、二塁で中日カブレラから9戦ぶりの125メートル弾。打線を目覚めさせ、杉内に約1カ月ぶりの9勝目をもたらした。中堅方向への本塁打は両リーグで日本人トップタイの5本目。長野の中堅弾が、チームを優勝という「センターポジション」へ押し上げる。優勝マジックを32とした。
バックスクリーンへ、ぶれることなく真っすぐに飛んだ。これこそが長野の1発傾向。6回2死一、二塁。初球に空振りした真ん中高めのスライダーが4球目に、また来た。美しいレベルスイングで打球を押し込む。「しっかり打てた。でも入るとは思わなかった。(バックスクリーン弾は)なかなか出ないので、うれしい」。控えめな言葉とは裏腹な豪快な打球だった。
最も飛距離を必要とする中堅方向への本塁打は、両リーグの日本人では日本ハム中田と並び最多の5本。だが14本の長野と26本の中田とでは分母が違う。量産に「よく分からない」と話したが、原監督は賛辞の言葉を次々に並べた。「長野しか打てないような打球だった。彼の長所はセンターに強く飛ぶのが特長。素晴らしい打撃だった」。苦言を呈することも多かった指揮官は認めた。
球場の最深部をえぐるべく、常に新しい何かを探している。オフは絶好の機会だ。昨年は横綱白鵬のいる宮城野部屋訪問を希望。今年は千葉県の農家を訪れ、農作業とパン作りを体験し、テレビ番組に出演した。「いろいろ新しいことを知りたい。来年は何がいいですかね?
アイデアをください」。未知との世界の触れ合いは、何かしらの刺激になることを知っている。
野球でも新しいことを求める。7月下旬からはティー打撃で新兵器を使用。トスする相手が防球ラバーに守られることで、実戦同様の正面からの投球に対する打撃を可能にしている。球界ではソフトバンクが先駆者で、坂本が要望したものに長野も乗っかった。この日も練習で「ぬりかべ」のようなラバーに真っすぐぶち当てた。ラバーの先にある中堅方向を目指しているかのような光景だった。
ファンの声でも、取り入れる。4回の好機に併殺打に倒れ、守備に向かう際に「気持ちを切り替えろ!」という言葉が耳に入った。「いつもは『あ~』と引きずることもあるけど、今日は切り替えて思い切りいった」とリセットボタンを押し、好結果につなげた。
6月に2割2分台まで低迷した打率も2割7分目前。「(状態は)だいぶ、いいです」。お立ち台のセンターで発した少しだけ威勢のいい言葉は、好調への確信のはずだ。【広重竜太郎】



