<広島6-2ヤクルト>◇23日◇マツダスタジアム

 ショックを和らげる勝利だった。23日、広島堂林翔太内野手(22)が「左第3中手骨骨折」と診断され、今季中の復帰が厳しくなった。20日中日戦(岐阜)で左手に投球を受け負傷。回復が芳しくなかったため再検査を受けた。シーズン終盤の気がかりなニュースの中、先発野村祐輔投手(24)が8回4安打2失点の快投で8勝目。ジーンズの街、岡山・倉敷市生まれの右腕がデニムデザインユニホームで舞った。

 12日ぶりの本拠地に戻ってきたチームに、ショックが襲った。20日中日戦(岐阜)の死球で左手を負傷した堂林は、広島市内でCT検査、MRI検査を受けた。結果は「左第3中手骨骨折」。当初の打撲の診断から一転、深刻な状況に追い込まれた。加療3~4週間の見込みで、実戦復帰には最短でも1カ月を要するとみられる。だが、レギュラーとして戦い続けた若鯉の心は折れていない。

 「この時期にチームを抜けるのは悔しい。3、4週間と言われているけど、それよりも早く戻れると思っている」

 人生で初めての骨折で、昨季開幕で1軍に抜てきされて以降、初めて出場登録を抹消された。当然、リハビリも未経験だが、患部の回復を促進する酸素カプセルを積極的に利用する考えを明かした。25日から、3軍リハビリ組として大野練習場で復帰へのトレーニングを開始する。

 野村監督が「常時出ている人がいなくなるのはきつい」と話すように、チームにも重い空気が漂った。それを和らげたのは、鮮やかな青のデニムデザインユニホームをまとった野村だった。5回にバレンティンにソロ本塁打を浴びたが、持ち味の緩急と制球力が光り、8回4安打2失点で8勝目を手にした。

 国内ジーンズ発祥の、岡山・倉敷市生まれ。小学生のころからジーパンを好み、最近の悩みは「サイズが大きくなって、年々枚数が増えている」ことだ。お気に入りは、大学時代に友人から誕生日にプレゼントされた、倉敷産の1本。昨季はシーズン終盤に5連敗と失速したが、これで3連勝となった。見えない力を与えたお気に入りアイテムを思わせるユニホームに「これはいて帰ってもばれないかな」と上機嫌だった。

 4カード連続のカード初戦勝利で、4位中日に再び2・5ゲーム差をつけた。シーズン終盤、降りかかる非常事態にも“普段着”で対応できるかがカギになる。【鎌田真一郎】