<日本ハム11-5ソフトバンク>◇5日◇東京ドーム

 同じ海を渡ってきた友へ-。日本ハムのブライアン・ウルフ投手(32)が7勝目を戦友にささげた。この日、3年間をともにしたホフパワーが退団。顔を合わせれば冗談を言い、笑い合う仲だっただけに、動揺した。マウンドではショックを隠し粘投。2回に4失点も、直後に打線が一挙6点で逆転。3回以降は無失点と踏ん張った。「サポートがあって、自信を持って投げられた」。歓喜の輪の仲に、いつも鼓舞してくれた友人の姿はなかった。

 思い出は、形となって残っている。電子機器が好きで、配線が得意なウルフ。サプライズを発案し、ホフパワーと7月9日に退団したモルケンに声をかけた。日ごろの感謝を込めて、3人で水原通訳に欲しがっていたパソコンを贈った。特別な日ではなかったが、来日4年目の先輩として、和の心の1つである「感謝」を実践してみせた。

 出会いは、かけがえのないものになった。ともにメジャーでは大成せず、新天地として選んだ日本でチームメートになった。日本ハムでは入団1年先輩のウルフが、異国での生活などを伝授。食事に行くときは2人の時間をつくり、苦楽を分かち合ってきた。「これからの活躍を祈っている」。別れた仲間が教えてくれた。悲しみの先に、強くなった自分が待っていることを。【田中彩友美】