<広島3-8中日>◇5日◇マツダスタジアム
負ければCS進出ピンチとなる苦境を周平が救った。中日の高橋周平内野手(19)が5号2ラン含む2安打4打点の活躍で勝利を引き寄せ、CS圏3位を争う広島との直接対決を1勝1敗のタイで終えた。先発大竹とはここ8戦し0勝6敗と大の苦手にしていたが、19歳のバットで土をつけた。3位広島とは2ゲーム差。勝負の秋へ、若い力が推進力になる。
最後の打者の力ない当たりは、高橋周の前に転がった。三塁手の見せ場だ。前に出てジャンピングスロー。ビシッと刺して格好良く締めた。選ばれし男。打って試合を決めたヒーローが華麗な守りで勝ちゲームを完成させた。価値ある1勝は、竜の未来を照らす逸材の力でつかみとった。
「これでゲーム差は2ゲームですか?
残り試合も少ないし、大事な試合だと分かっていた。打ててよかったッス!」
こう言うと、ニヤリ笑った。屈託ない笑みには、大物感が漂う。若いが、小さなことには動じない高橋周でも「大事な試合」だと刻んでいた。CS圏3位を争う広島とのガチンコ勝負。前日4日は前田健に封じられて敗れた。2連敗してしまえば、残りの直接対決は4試合でゲーム差は4まで広がる。さらに相手先発は天敵大竹。この右腕とはここ8戦し勝ちなしの6連敗中。重苦しいムードを19歳のバットが振り払った。
まずは2-2の4回。2死二、三塁で左越えの2点適時三塁打。プロ初の三塁打は「フルカウントになって、真っすぐが来ると思っていました」と狙いピタリの一撃だった。3点リードの9回無死一塁からは5号2ラン。だめ押し弾を広島ファンが陣取る右翼席に届けた。
試合中のベンチはどの球場でも、高木監督のすぐそばが“指定席”。状況に応じ細かい指導が入る。守備も決して得意な方ではなく気を使う。ベンチ内とホットコーナーでは、どうしても小さくなってしまう。唯一ともいえる自己表現の場が打席という小さな一区画。余りある才能があるからこそ可能になる表現が、プロ初の4打点という結果だった。
雨で3連戦の初戦が流れ、当初「1勝1敗1分けでいい」といっていた高木監督は3日に「1勝1敗で」と、今カードの星取りを修正していた。“予言”通りになり「おかげさまで」とニッコリ。期待が大きいがゆえ、高橋周については「我慢してるんじゃなくて(他に)おらんから使ってるんや」と言ったが、うれしくないはずがない。逆転CSへ。守道竜がピンチを若き才能で切り抜けた。【八反誠】



